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「片道5000円」エア・アジアX ウェブ予約の超大変ドタバタ 
(連載「LCC革命の衝撃」第1回)

   格安航空会社とも訳されるLCCの路線が世界中に広がり、各地に「航空革命」を引き起こしつつある。安価な旅行が可能になり、飛行機の乗り方そのものが変わってきた。週末、ちょっと海外にうまいものでも食いに行ってみようか、といった感覚なのである。LCCの現状と未来を連載で探ってみた。

   マレーシアに本拠を置く長距離格安航空会社(LCC)のエア・アジアXが2010年12月9日、LCCとしては初めて羽田空港への乗り入れを果たした。キャンペーン価格はなんと「片道5000円」。

   J-CASTニュース記者は、エア・アジアXの羽田発クアラルンプール行きの初便に搭乗した。予約手続きから現地滞在に至るまでの「搭乗記」を3回にわたってお届けする。

荷物は15キロ1000円、20キロで1500円

記者が搭乗したエア・アジアXのエアバスA330型機。クアラルンプール空港のLCC専用ターミナルでは、タラップを使って乗り込む仕組みだ
記者が搭乗したエア・アジアXのエアバスA330型機。クアラルンプール空港のLCC専用ターミナルでは、タラップを使って乗り込む仕組みだ

   記者は予約が始まる9月23日正午きっかり、自宅の机に座り、パソコンに向かった。

   エア・アジアXの羽田乗り入れが発表されたのは2010年9月21日のこと。キャンペーン価格として「片道5000円」が大きく打ち出され、この価格の対象となるのは、9月23日から10月31日にかけて同社ウェブサイトで予約した便だとされた。このキャンペーン価格が適用される座席数は限られているので、遅れは取れない。

   ウェブサイトで予約に必要な大半の部分は日本語化されている。トップページから出発地と目的地を選択した後、次のページでキャンペーン運賃の「5000円」を選択。この時点では、まだ「売り切れ」になっていないようで、記者は一安心。さらに住所やパスポート番号などの個人情報を入力した後に、座席指定が出来る。

   ここまでは、他の航空会社の便を予約するときと同様だが、最前列などの足元が広い座席は「ホットシート」という区分で、3000円の追加料金が必要だ。ホットシートは比較的空いていたが、3000円はやや高いと感じ、追加料金なしの席を予約した。

   さらに、いかにも「LCCらしい」のが、追加サービスの事前予約ができるその次のページ。毛布や空気まくらをセットにした「快適キット」(1000円)や、700円の機内食を注文することができる。機内食は、「ベジタリアン料理、マレーシア料理、多国籍料理、お子様料理」の4種類から選ぶことができる。やはりやや高いと感じたが、7時間のフライトには不可欠なので、これも注文した。

   また、荷物をチェックインカウンターで預ける際は、追加料金が必要だ。15キロの場合が1000円、20キロで1500円、25キロで2500円、30キロで4000円といった具合で、何キロ預けるかを、この段階で登録することができる。荷物を預けずに機内持ち込みの荷物だけで旅行するのは事実上不可能なので、1000円の追加料金を支払うことにした。

何がエラーの原因なのか分からず焦る

ウェブサイトで最前列を指定すると、3000円の追加料金がかかる
ウェブサイトで最前列を指定すると、3000円の追加料金がかかる

   それ以外にも、空港から市街町までのバスチケットを200円で、現地で使用できる携帯電話のSIMカードを180円で予約できる。

   さらに次の画面では、決済するクレジットカードの番号や有効期限を入力。事前にパスポートの番号やクレジットカードの番号をコピー・ペーストできるように準備してあったこともあって、ここまでの入力作業は5分程度で完了した。だが、ここからが長かった。

   クレジットカードの決済が無事に完了すれば、無事に予約完了のはずだが、決済のためのボタンを押すと、

「『1248:PaymentsDidNotPassValidation 』エラーが発生いたしました。 再度お試しください。 エラーが続くようでしたら当社までご連絡ください」

というメッセージが表示され、処理が止まってしまう。これでは、何がエラーの原因なのか分からない。その上、何度やり直しても同じエラーが表示される。別のクレジットカードの番号を入力したり、英語のウェブサイトから入力を試みたりしても、結果は同じだ。

   前出の座席指定の画面を見ると、「予約済み」の座席の数はあまり増えていない。予約がうまくできない利用者が自分以外にも多くいるようで、まだ5000円チケットのチャンスは残されているようだ。

   試行錯誤を続けるなかで、復路のクアラルンプール発羽田行きの予約を試みたところ、どういう訳か決済に成功。決済成功から数分が経過した12時56分、英語で書かれた日程表が、PDFファイルで送られて来た。機内食や航空税を含めて420.5リンギット(1万1220円)だった。

一度購入したチケットは原則として払い戻し不可

   そうこうしている間に、正午の時点では「5000円」と表示されていた往路のキャンペーン運賃が売り切れになったのか、13時10分には1万4000円に値上がりした。13時30分には5000円が復活したと思えば、14時10分には1万4000円に戻ってしまった、という具合に混乱した。一度購入したチケットは、原則として払い戻しできない。このまま往路のチケットが取れなかったとしたら、仮に旅行自体を中止した場合には、購入したばかりの復路のチケットが無駄になりかねない。片道だけ他社に乗るにしても、割高になるのは確実。意外なリスクがあることを改めて実感した。

   試しに、グーグルにエラーコードを入力して検索してみたところ、Yahoo!知恵袋などのQ&Aサイトにも、「エア・アジアの予約がカード決済時にエラーがでて、完了できません」といった項目ができていた。解決の糸口は、そこに示されていた。「回答」の欄に書かれていた。

「インターネットのセキュリティーレベルを最低にした」
「これは関係ないと思いますが、KLセントラルまでのバスの予約をやめた」

といった項目を試してみたところ、どういう訳か決済に成功。復路と同様に、PDFの日程表が送られて来た。機内食代や空港利用料・税の3000円を含めると、合計1万9850円。当初の予定よりは高くついたが、やはり他社に比べると安い。