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「餃子の王将」息切れ 売上高、客数も減少

   中華料理レストランチェーンの「餃子の王将」を展開する王将フードサービスの2011年1月の売上げ(既存店ベース)は、前年同月に比べて9%減った。これで、8か月連続で前年実績を下回ったことになる。

   客単価も4円低下の839円、客数も8.6%減った。全店ベースの売上高も2.3%減と、前月の横ばいからマイナスに転じた。

   景気低迷で苦戦が続く外食産業にあって、絶好調の王将チェーンもさすがにそろそろ息切れなのか。

これまでが驚異的な伸び

1月の売上高は8か月連続で前年実績を下回ったが・・・(写真は「王将フーズサービス」のホームページ)
1月の売上高は8か月連続で前年実績を下回ったが・・・(写真は「王将フーズサービス」のホームページ)

   王将フードサービスによると、2011年1月の売上高は前年同月比9%減。しかし、09年1月と比べるとなお10.4%増の水準を維持していて、減少の原因を「前年の売上げが通年で18.5%増とあまりに大きく伸びたので、その反動が大きい」(経営企画部)と説明する。

   王将は、従業員が厨房で調理する姿を、お客が見ることができる「オープンキッチン」を採用し、店舗ごとでオリジナルメニューを提供するなど店長に一定の裁量権を与えることで店舗を活性化する、独自の店舗運営スタイルを取り入れてきた。

   フードビジネス総合研究所の山縣英紀氏は、「(既存店がマイナスになったことは)あまりマイナスイメージにはとらえていません。そもそも、これまでが驚異的な伸びでしたから。お客が多くなって待ち時間が長くなるなど、それによって足が遠のいた消費者もいるでしょう。これから徐々にそういった人が戻ってくる」と、楽観視している。

   王将フードも、「基本は既存店をブラッシュアップすることで、昨年来店したお客様を逃さないことに尽きます」と説明する。

   とはいえ、2010年4‐12月期(第3四半期)の累計売上高(既存店ベース)も前年同期比で3.1%減だった。2011年1月の全店ベースの売上高がマイナスに転じたことも、「気にならないことはない」(フードビジネス総研の山縣氏)という。

餃子をはじめ持ち帰りメニューも少なくない

   外食産業の1月の売上高をみると、マクドナルドやモスバーガーサービス、牛丼の吉野家や「すき家」を展開するゼンショーなどのファストフードが好調だったものの、ファミリーレストランは苦戦した。大雪や寒さなどで外出機会が減ったことが影響したとみられる。

   外食産業を取り巻く環境は、景気低迷による節約志向による低価格化と「内食化」があるが、1月は天候悪化の影響で「内食化」が顕著に現れた。

   「餃子の王将」は、その場でつくって出来たてを味わってもらう中華料理レストランではあるが、餃子をはじめ、炒飯や鳥の唐揚げ、八宝菜などは持ち帰りメニューも少なくない。いわば、ファストフードとファミリーレストランの中間に位置付けられる店づくりといえる。

   王将フードは、「全店で持ち帰りはできるが、立地などのよってニーズが異なるので、力の入れ具合は各店に任せている」と話す。これまでは他のファミリーレストランやファストフードとの差別化戦略が奏功してきた。「日常食としての中華料理をアピールするだけ」というが、今後がどうなるか注目される。