米国格付け会社が国債格下げ それでも円上昇、「安全資産」の評価

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   日本国債の格付けが引き下げられた。米格付け会社「スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)」は2011年1月27日、21段階中、上から3番目の「AA(ダブルA)」から1段階引き下1段階引き下げ、「AA-(ダブルAマイナス)」にした。米ムーディーズ・インベスターズ・サービスも2月22日、格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更し、現在は21段階中3番目の「Aa2」から引き下げる可能性を示した。

   国と地方を合わせた債務残高(期間1年超)が、2011年3月末で869兆円と、国内総生産(GDP)の1.8倍に達するという、先進国で最悪の財政状況にあり、財政赤字削減が進まないのを問題視したのだ。

「ムーディーズの影響はほとんどなかった」

   S&Pは2002年4月に「AA」から「AA-」に引き下げ、2007年4月に「AA」に戻していたが、今回の引き下げについて、2020年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する政府目標が「大規模な財政再建策が実施されない限り、達成できない」と指摘。「債務問題に対する一貫した戦略が欠けている」と民主党政権を批判した。ムーディーズも「債務と成長に関する課題に対し、与野党が有効な政策を 打ち出す能力に不透明感が高まった」と指摘している。いずれも、6月をめどとする「税制と社会保障の一体改革」のとりまとめが一段と不透明になるなど菅直人内閣の政権運営、また野党自民党の政局優先の対応を含め、日本政治の行き詰まりを重視している。

   ところが、これで「日本売り」になったかというと、そう単純ではない。確かに、S&Pの格下げがあった1月27日の東京外為市場では、1ドル=82円台前半で取引されていた円相場が83円20銭台まで急落、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りも一時、前日比0.015ポイント高い年1.250%まで上昇した。

   2月中旬には同利回りは1.3%台半ばへ、10カ月ぶりの水準に上昇した。しかし、その後は中東情勢の緊迫化に伴う世界経済の先行き不透明感が広がるに連れ、「リスク回避通貨」として外為市場では円買いが強まり、1ドル=82円台に戻し、長期金利も1.2%台に逆戻り。ムーディーズが日本国債の見通しを「ネガティブ」とした2月22日の東京債券市場は、国債利回りが1.27%と前日より0.035ポイント低下(国債価格は上昇)し、「ムーディーズの影響はほとんどなかった」(アナリスト)という。

国際的な「安全資産」だとしてもいつか限界は来る

   言うまでもなく、日本国債は95%が国内で消化され、海外保有比率が高い欧米とは際立った違いがある。1400兆円以上の個人金融資産の範囲内で、少なくとも現状では「日本国債暴落」などの兆候はなく、むしろ国際的な「安全資産」とみなされているのだ。

   ただ、毎年40兆円を上回る国債発行を続けていればいつか、限界が来るはず。慶応義塾大学の土居丈朗教授はテレビなどで「2013年に国と地方の借金が国民の金融資産を上回る」と指摘している。個人金融資産は、住宅ローンなどの負債を差し引くと、実質は1000兆円。国債増発が続く一方、団塊世代のリタイヤで資産が取り崩されていくことから、2、3年で国の借金を国民が買いきれなくなるというのだ。

   さらに、2011年度予算の関連法案が、「ねじれ国会」のため成立が危ぶまれ、公債特例法案もその中に含まれる。不成立なら赤字国債が発行できなくなり、歳入の半分に穴が開くことになりかねない。同法案不成立が引き金になって国債の暴落が始まるという声も市場では聞かれ始めている。

   ムーディーズは国債の見通しとともに、3メガバンクの長期格付けの見通しも、「ネガティブ」とした。国債格下げになった場合の銀行経営への影響を考えた措置という。

   万一、国債暴落ともなれば、大量の国債を保有する銀行、生保などへの影響は計り知れず、1990年代前半のバブル崩壊以上に日本経済への打撃になるとの見方もある。財務省、日銀は市場の動きを注視し、「有事」の際の対応策を練り始めているというが、「政治が与野党を超えて知恵を出さない限り、不安が現実化しかねない」(市場関係者)との危機感が徐々に広がっている。

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