「鳥インフル、ワクチンで防げ」 来日した世界的権威が警鐘

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   2010年秋以来、島根、宮崎、鹿児島、愛知など各地で高病原性の鳥インフルエンザが発生して深刻な社会問題になっている。ちょうどこの時期、鳥インフル問題の世界的権威であるイラリア・カプア博士が来日、「日本はワクチンの使用を考えるべき時期」に来ていると提言した。

   カプアさんは現在、イタリア国立ベネチア家畜衛生研究所の生物医学部長で、OIE(国際獣医事務局)とFAO(国連食糧農業機関)の鳥インフルエンザ部長、WHO(世界保健機関)特別委員会委員。日本鶏卵生産者協会の招きで2011年2月末から3月初めにかけて来日、農林水産省や国会議員など関係者と会合を持った。同協会が主催する「鳥インフルエンザ国際学術セミナー」でも講演した。

将来は人への感染流行も

   カプアさんは、H5N1型の高病原性鳥インフルエンザウイルスが農場に入ると48時間以内に鶏を全滅させること、将来は人間への感染流行も否定できないこと、などを挙げてその対策の重要性を強調した。

   「家畜の感染症制圧で最も有効なのは殺処分だが、感染の規模が大きくなる鳥インフルエンザや口蹄疫の場合は殺処分だけでは無理」として、問題農場からの感染動物や資材、飼料、人の拡散を防ぐ対策とともに、ワクチン接種の重要性を挙げた。

   日本の農林水産省は、ワクチンはかえってウイルスを蔓延させる可能性があるとして接種には否定的で、広範囲な鶏の殺処分で対応している。しかし、カプアさんは高品質のワクチンを適切な管理下で使用すれば有効性は高いと解説した。

   イタリアでは「H5N2」抗体ワクチンを導入している。「N1」と「N2」のちょっとした違いを検査識別することで、自然のウイルスとワクチンウイルスを区別できる。自然ウイルスの広がりやワクチンウイルスの効果などが追跡できるというわけだ。

日本の検査法は遅れている

   カプアさんは「野鳥の感染には有効な対策がなく、発生状況からも日本の現状は既にワクチンが必要なレベルに達していると思う」と述べた。日本ではウイルス検査に数日間を要するため、一定距離内の農場の卵や鶏が出荷制限されているとの説明に「世界中で使われている検査法・リアルタイムPCR法は数時間以内に確実に判定できる」と、日本の検査の遅れについても示唆した。

   日本鶏卵生産者協会はこうした最新知見をもとに、農林水産省に「国際基準に合った対応をしてほしい」と要請し続けることにしている。

(医療ジャーナリスト・田辺功)

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