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被災学生を「授業料免除」で受け入れ 清泉女子大では男子も

   大学が被災地域の学生を、授業料免除で受け入れようという動きが全国で広がっている。清泉女子大学が「男子」学生を受け入れることを、webサイトで明記したことも話題になった。

   清泉女子大学は2011年4月4日、災害救助法が適用された地域(東京都を除く)で被災した他大学の学生を、「科目等履修生」として受け入れることを発表した。

試験に合格すれば証明書を交付

   東京近郊に避難している学生が対象となる。書類審査を経れば、大学で授業を受けたり、図書館など学内の施設を利用したりすることができる。期間は1年間を予定しており、履修にかかる費用は全額免除となる。

   所定の科目の履修を終え、試験に合格したときには、単位修得証明書を交付する。webサイトの発表では「男子学生も特別科目等履修生に申し出ることができる」と書かれ、「女子大なのに」と話題を集めた。

   広報によると、「科目等履修生」という制度は、別の大学に在籍しながらでも、当該大学で授業を受けられる仕組み。清泉女子大ではこの制度に基づいて、これまでにも男子学生を受け入れていた経緯があり、今回だけが特別に「男子」学生を受け入れるわけではないという。

   ただし、男子が受講する例は最近では3年前に1人だけで、ここ2年はなかった。webサイトに掲載したのは、一般的には女子大で男子を受け入れることが認知されていないため、と広報は説明している。

国立大学協会、学習支援呼びかけ

   このように授業料を全額免除して、被災地域の学生が授業を受けられる態勢は、ほかの大学でも整えられている。

   長崎大学はすべての学部で、被災のために授業ができない大学に通う学生、避難により在籍する大学で授業を受けられない学生を、特別聴講学生または科目等履修生として受け入れる。住居(職員用の寮など)の無料提供も予定している。

   学生支援部教育支援課によると、この取り組みは「複数の学部から支援ができないかという申し入れがあった。全学的な受け入れ態勢を急いで整えた」と説明する。期間は未定だが、元の大学に戻れる状況となるまで対応していく。単位は長崎大学の規程に従って認定され、在籍先の大学が認めれば卒業に必要な単位にもなるという。

   神戸女学院大学は3月25日、被災地にあるキリスト教学校教育同盟傘下の大学に在籍する女子学生を、特別聴講生として迎え入れると発表。通学できる地域に寄留先のない学生のうち希望者には、住居と生活支援金(月5万円)を提供することにした。「阪神淡路大震災のときには、本学も多くの支援を受け復興した経緯がある。何か力になれないかという話がすぐに出た」と担当者は話す。

   また、国立大学協会では、避難先にある大学の講義の履修、聴講を希望する被災学生がいる場合、科目等履修生制度等を利用した学習支援を呼びかけている。これを受けて、山口大学、都留文科大学でも授業料免除の措置をとっている。