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「原発付近で携帯使えないのは事実」 その理由をソフトバンク副社長が釈明

   「つながりにくい」と指摘されることが多いソフトバンクモバイルの携帯電話だが、東日本大震災の被災地でも、同様の指摘が相次いでいる。ソフトバンクの復旧ペースが遅いと受け止められ、地元テレビ局のウェブサイトには「ソフトバンク携帯電話サービス状況」というコーナーが登場。それ以外にも、福島原発付近でもつながりにくいことが指摘されている。

   もっとも、同社の松本徹三副社長は、ツイッター上で「ソフトバンクだけが800MHzの免許を待っていないから」と、電波が届きにくい周波数帯しか使えないことが原因だと釈明している。

岩手県でつながり具合の悪さ問題視される

   ソフトバンクは震災から1カ月以上たった、2011年4月14日になって「エリアカバーが震災前とほぼ同等の状態に回復した」と発表した。地上経由の通信回線や電源の確保が困難だったため、衛星回線や移動電源車を活用したという。

   だが、ここ1か月ほど、被災地でのソフトバンクのつながりにくさを指摘する声が多かったのも確かだ。それを端的に表しているのが、地元テレビ局が提供している生活情報だ。岩手めんこいテレビ(フジテレビ系、岩手市)がウェブサイトで提供している「ライフライン・生活情報」のコーナーでは、県内の携帯電話のサービス状況を掲載している。

   その中で、12市町村の状況が紹介されているのだが、3月18日時点では、そのうち7市町村が「ドコモ一部不可 AU一部不可 ソフトバンク全域不可」という状況で、ソフトバンクの設備復旧の遅れが目立っている。さらに3月23日には、それまで「携帯電話サービス状況」だった項目の名前が「ソフトバンク携帯電話サービス状況」になってしまった。いわば、ソフトバンクのつながり具合が特に問題視されていることを表しているとも言えそうだ。

   ソフトバンクモバイルの松本徹三副社長は、ツイッター上で

「N社、K社を含め、各社とも復旧状況を公表しています。比較して見てください。ソフトバンクはむしろ早い方です」

と主張しているものの、多くの消費者の受け止めとは温度差がある様子だ。

   また、ソフトバンクの通話エリアは一通り復旧したとはいえ、福島原発の周辺20キロは復旧作業の対象外で、いまだに「圏外」だ。この点についても批判があるが、松本氏は

「福島原発に近いところでは、ドコモやauの携帯は使えても、ソフトバンクの携帯が使えないところが有るのは残念ながら事実です。理由は簡単で3社のうちで、ソフトバンクだけが800MHzの免許を待っていないからです」
「ソフトバンクの2.1GHz は電波が遠くまで届かないので、原発の近くに基地局を作らねば周辺がカバー出来ません。これに対し他社の基地局は遠くにあっても800MHzを使えるので、届くのです。このハンディキャップを一日も早く解消して貰えなければ、当然やるべき事も出来ないのです」

「飛びにくい」電波帯域しか利用できないため?

「各社とも周辺に入って壊れた基地局を復旧する事は出来ませんが、800MHzが使える事業者なら、遠い所から電波をとどかす事が出来るのです」

と、ソフトバンクが比較的「飛びにくい」電波の帯域しか利用できないことを理由に挙げた。

   ただし、NTTドコモは4月14日の段階で

「福島第一原子力発電所より20km圏内における発電所付近及びJヴィレッジ~発電所間の国道6号線沿線ついては、20km圏外から高性能アンテナを用いたり、20km圏内の通信ビルに入り回線切替を実施し、概ねエリア化しFOMAサービスの提供を開始しました」

と、福島第1原発の20キロ圏内でも復旧作業を行っているのに対して、ソフトバンクは20キロ内で作業を行うことについては安全上の理由から否定的だ。

   この点についても、松本氏は

「私は20キロ圏内で仕事をする人は特殊な任務を帯びた人であり、通信手段としては通常の携帯電話ではなく、特殊なシステムを使うべきと考えます。自衛隊のシステム、警察無線、インマリサット(原文ママ、「インマルサット」の誤記とみられる)の衛星電話などです」

と理解を求めている。

   被災地以外でも、ソフトバンクの携帯は他社に比べてつながりにくいというのは、「定評」になっている。理由はともあれ、それを払しょくするのは簡単ではない。