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運転停止求めるデモ行われた 中電・浜岡原発が緊急安全対策

   東京電力の福島第1原子力発電所の事故を受け、「すぐに運転を停止すべきだ」との声がとりわけ上がっているのが、中部電力の浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)だ。東海地震の想定震源域にあるため、「地震が起これば福島よりも被害が大きくなる」などと懸念されているためだ。都内ではデモが行われたほか、近く運転停止を求める仮処分の申し立ても行われる見通しだ。一方の中電は、非常用電源を増やし、防波壁を建設するなどの対応策で、運転継続したい考えだ。

   浜岡原発では、4、5号機が稼働中だ。3号機は2010年11月から定期検査入りし、3月下旬にも原子炉を再起動する予定だったが、地震の影響で運転再開を当面見直すことになった。また、老朽化で廃炉が決まった1、2号機の代わりに、6号機を建設する計画も進んでいる。

住民が3~5号機運転停止を求める仮処分申し立てへ

   ただし、浜岡原発は、東海地震の想定震源域に立地しており、周辺には多数の活断層も確認されている。東海地震が発生した場合の規模はマグニチュード8になると想定されており、事故のリスクも多く指摘されている。

   すでに地元住民が1~4号機の運転差し止めを求める訴訟を起こしており、07年10月の静岡地裁の判決では、中電側が主張する安全対策が認められ住民側が敗訴。東京高裁で2審が行われている。

   福島第1原発の事故を受け、さらにこの動きが加速している。住民の弁護団は、3~5号機を対象に運転停止を求める仮処分を近く静岡地裁に申し立てるほか、4月10日には、運転停止を求める集会が東京・芝公園で行われ、約2500人が参加。集会後は経済産業省、中部電力東京支社、東京電力の前などをデモ行進した。

   ただし、中電側は運転を続ける考えで、4月20日には、福島第1原発事故を踏まえた安全対策を経済産業省原子力安全・保安院に報告している。

高台に発電機、海側にコンクリート製の防波壁

   報告によると、格納容器内の蒸気を下げるための「ベント」を手動で行ったり、原子炉に注水する際の具体的な手順を確認したほか、外部電源や原子炉建屋内の非常用ディーゼル発電機が機能しなくなった時に備えて、各号機の2階屋上に発電機を新たに設置した。これまでの発電機よりも標高が高い場所に設置されることから、津波で被害を受けるリスクを下げられる。

   今後は、高台に発電機を3~5号機に1台ずつ新設するほか、海側にコンクリート製の防波壁を建設する。一連の対策で、中電は300億円程度を投じる見通しだ。

   中電側の対策を踏まえて、保安院は、4月21日から22日にかけて立ち入り検査を行っている。この検査結果が、3号機運転再開の時期に大きく影響しそうだ。