2024年 4月 19日 (金)

「エリート小学生全国から選抜」 北朝鮮のハッカー戦士は3000人

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   韓国と北朝鮮の「サイバー戦争」が激化するなか、北朝鮮がハッカーの養成を急激に強化していることが明らかになった。2011年6月20日、中東のテレビ局、アル・ジャジーラが、北朝鮮でハッキングの技術を教えていた脱北者の話として報じた。

   数学に秀でた小学生をスカウトし、中学校、大学とエリート教育を施すといい、その数は3000人にのぼる。待遇は非常によく、中には「海外派遣組」も存在するという。

中国やロシアに留学、技術を深める

   「ハッカー育成」の一端を明かしているのは、2003年に中国経由で脱北し、04年からソウル在住のキム・フングァン氏。脱北者団体「北朝鮮知識人連帯」の代表を務めている。

   キム氏は、北朝鮮では有数の工業大学として知られる金策(キムチェク)工業総合大学で情報処理を専攻。卒業後は北朝鮮北東部の咸興(ハムフン)電子情報専門学校で、19年間にわたって「ハッカー候補生」を教えてきた。また、韓国ドラマや外国書籍、機密書類を監視する役割を担っていたが、これらの物品を友人に貸したことが原因で逮捕され、これが脱北のきっかけになったという。

   キム氏によると、これまでに3000人のハッカーがリクルートされ、北朝鮮、中国、ロシアなどで活動しているという。その供給源は、全国にある小学校の上位クラスだ。その中から、理科や数学の成績が良く、分析力に優れている生徒は、平壌のエリート校として知られる金星(クムソン)第1・第2高等中学校に入学。ここで6年間にわたって教育を受けると、金日成総合大学や金策工業総合大学といった、北朝鮮ではトップクラスの大学に進む。 大学のカリキュラムは通常より短い2年間で終え、中国やロシアに1年にわたって留学。そこでハッキングの技術を深め、「サイバー兵士」として実戦に投入される。ハッキングを行う「121部」は、「局」に格上げされ、メンバーも500人から3000人に急増したという。

   ハッカーの待遇も良く、仮に大学を上位で卒業した場合、地方に住む親を平壌に呼び寄ることができ、結婚しているハッカーには、平壌での住居が与えられる。さらに、海外勤務が長くなると、かなりの貯金ができるという。

北朝鮮国内から攻撃が行われることはない

   08年に脱北したジャン・セユル氏によると、「海外派遣組」のハッカーは、「プログラマー」として中国、ロシア、ヨーロッパに送り込まれる。ハッカー自身は、現地で、外貨稼ぎができる民間向けのソフトを開発しようという意欲を持っているものの、実際のミッションは現地を攻撃するためのプログラムの開発だ。例えば、ヨーロッパに派遣された人であれば、NATO諸国を攻撃することが想定されている。

   海外に送り込まれるハッカーは計600人で、300人のチームが2つある。1~2年に1回、北朝鮮と派遣先をローテーションするという、しかし、攻撃経路が容易に特定されてしまうため、北朝鮮国内から攻撃が行われることはないという。

   では、なぜ北朝鮮は、こんなにハッカーの育成に力を入れるのか。前出のキム氏は、(1)戦車や戦闘機を買うよりも、はるかに低コストで攻撃を仕掛けられる(2)北朝鮮には数学に優れた人材が多く、ソフト開発やパスワード破りの技術に自信がある(3)ハッカーの技術は、様々な分野で応用がきく(4)北朝鮮はインターネットとつながっていないに等しいので、攻撃を受ける側にならずにすむ、といった理由を挙げている。

   ジャン氏によると、金正日総書記は、「サイバー戦争」の準備には相当の投資を行い、費用対効果は高いとみているようだ。

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