安愚楽牧場が再生法適用を申請 東電補償なければオーナーへの返還は1割程度?

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   経営破たんの危機にあった安愚楽牧場が東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請し、2011年8月9日に保全命令を受けた。負債総額は3月時点で619億8705万円。

   東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で、牛の放牧制限や牛肉から放射性セシウムが検出されたことで市場価格が下落し、急速に資金繰りが悪化した。牛の餌代など一部の取引先や、オーナー(出資者)への配当の支払いを止めていた。

バブル期は年10%の高利回り

「和牛オーナー」の出資金はどの程度戻るのか(写真はイメージ)
「和牛オーナー」の出資金はどの程度戻るのか(写真はイメージ)

   経営破たんの引き金になったのは、オーナーによる資金流出が止まらなかったことにある。3月以降、ふだんの3~4倍の解約が殺到した一方で、新規のオーナー契約もままならなくなった。

   企業情報の帝国データバンクによると、安愚楽牧場のオーナーは全国に約7万人。北海道から九州・沖縄までの全国40か所の直営牧場と、338か所の預託先牧場をもち、推定約15万頭の黒毛和牛を飼育している。国内の黒毛和牛の牧場としては最大規模だ。

   繁殖牛のオーナーから出資を募り、生まれた仔牛の売却益を配当に充てる仕組みで、バブル期には年10%もの高利回りを叩き出していた。この3月までも、5~7%前後の利回りがあった。

   11年3月期には食肉の売上増などで、1027億2394万円の売上高を達成。ただ、2010年に宮崎県で起きた口蹄疫問題では約1万5000頭の牛を殺処分。その補償金88億2330万円が売上高に含まれている。

   とはいえ、安愚楽牧場の経営は「ビジネスモデル面で無理があったのではないか」との指摘がある。「もともと内部留保に乏しい」(帝国データバンク)とされ、牛肉の放射性セシウム汚染が問題になった7月もオーナーの新規募集や継続を呼びかけていた。

   たとえば、100万円を1年間預けると、仔牛の売却益の4万円と5000円分の金券プレゼントで、実質年4.5%の利回りを保証するような内容。さらには、放射性セシウム汚染の影響によって出荷額が低調になった場合には、「これまで積み立てていた基金から差額を補てんする」としていた。

   オーナーの中には「この1年ほど高い利回りの募集が増えたようにも思う」との声もある。

東電の損害賠償に一縷の望み

   オーナーの中には数千万~1億円を出資した高齢者も少なくない。しかし、経営破たんとなって、実際にどのくらいの資金が手元に戻ってくるのだろうか――。安愚楽牧場の場合、1990年代後半に問題化した他の和牛預託商法と異なり、和牛が「資産」として存在する。そのあたりに資金の「戻り」を期待する向きもあるが、牛の買い戻し額は元本の1割程度ではないかという見方もある。多額の負債を考えると、大幅な元本割れになる可能性は高い。

   また、一部メディアでは安愚楽牧場の幹部への取材として、「東電への損害賠償請求を考えている」と答えたことから、そこに「一縷の望み」を託しているようだ。

   ちなみに、2001年に経営破たんした流通大手のマイカルの社債の場合、返還割合は約3割。2005年の住宅外壁塗装のペイントハウス転換社債のケースで約2割だった。

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