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「砂金採り」ジワジワ人気 金価格高騰で「一攫千金」は狙えるのか

   金の価格が上昇する中、砂の中から砂金を見つけて楽しむ「砂金採り」が国内外で人気を集めつつある。

   金の先物価格は2011年8月22日、ニューヨーク商品取引所で12月物が一時1トロイオンス1884.9ドルと、過去最高値を更新。東京工業品取引所でも12年6月物が過去最高の1グラム4649円を記録した。連日の高値更新を受け、「自力で金を探し当てよう」と考える人が増えているのだろうか。

山梨の「湯之奥金山博物館」は来場者3割増

   砂金採りでは、金が砂よりも重い性質を利用して砂金を探し出す。川底に堆積した砂を「パンニング皿」と呼ばれる専用の皿ですくい、それを揺すって砂金を底に沈ませ、浮いた砂をふるい分けていくのが一般的な方法だ。

   かつて砂金が多く採れた場所の多くには、この作業を有料で体験できる観光施設がある。川の砂を入れた水槽から砂金を探すという方式のほか、川で直接砂を集めるところから体験できるものもある。

   山梨県身延町の「甲斐黄金村・湯之奥金山博物館」も砂金採り体験をできる施設の1つで、来場者は例年に比べ3割ほど増えているという。1回の体験は30分で大人600円。取れた砂金はそのまま持ち帰れるほか、砂金をワンポイントにしたアクセサリーを作ることもできる。

   30分で一体どれだけの砂金を手に入れられるのか。担当者によると、初心者は1回の体験でだいたい5~10粒、うまい人だと20~30粒見つけることができる。1粒はわずか0.02グラム程度で、来場者は「金をお金に替えようというよりは、純粋に砂金探しを楽しむのが目的」という。それでも人気が出ているのは、連日の金高騰の報道で、金に対する関心や遊び心を刺激された人が多いということのようだ。

   公式サイトには、見つけた粒の数を競う「砂金採り番付表」が公開されており、「横綱」として100粒以上採った人の名前が記載されている。この表を見ると、県外からの参加、家族連れでの参加が多いことが分かる。

アメリカではシャベルですくう

   まだ全国的なブームとなっているわけではない。川での砂金採りを本格的に体験できる北海道浜頓別町の「ウソタンナイ砂金採掘公園」では、金高騰の影響は特にないという。

   静岡県伊豆市にある「土肥金山」でも、「大地の神秘が、あなたに一攫千金をもたらすかも!」とうたってはいるものの、担当者によると、「こちらからお客様に『金の価格が上がっていますね』と声を掛けてもあまり反応はありません。どの人も採ること自体を楽しみにきているようです」と話している。

   その一方で、アメリカの一部でも砂金採りの人気は広がっているようだ。ロイター通信は8月13日、テキサス州で、砂金を集め収入を得ようとする人が増えていると報じている。川からすくったシャベル一杯分の砂からは、1、2片の砂金しか見つからず、「ゴールドラッシュ」を本気で狙う人は少ない。しかも、河川は州が保有しており、発見した金の所有権を主張するには、許可手数料250ドルを払って作業後の清掃を行う必要がある。それでも、参加者グループの1人は「金の値段が上がれば上がるほど、より多くの人がやってくる」と話しているという。