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外国人観光客例年の半分 「アジアNo.1」京都はどうなる

   米旅行雑誌「コンデナスト・トラベラー」は2011年10月11日、読者投票による地域別の観光地ランキングを発表し、アジアで、日本の「京都」が初の首位を獲得した。海外7か所に情報拠点を設けるなど、積極的な観光振興政策が実を結んだ。

   しかし現在、観光地・京都は大きな問題に直面している。3月の震災・原発事故による外国人観光客の減少だ。京都は「アジアNo.1」の座を守れるのか。

年間観光客、10年で1000万人増加

   京都市では2000年以来、「観光客5000万人構想」を掲げ、観光振興を最重要政策に位置付けてきた。民間企業、主要観光スポットである寺社との連携が功を奏し、長らく4000万人前後で停滞していた年間観光客数は、2008年に目標の「5000万人」を達成。2009年は世界同時不況や新型インフルエンザの流行で客足が落ちこんだが、2010年にも4957万人が訪れるなど、好調が続いていた。

   外国人観光客の誘致にも力を注ぎ、2007年からはロサンゼルス、シドニー、パリ、上海、韓国、ソウル、台北と7か所に拠点を設置。現地の旅行エージェント、マスコミへの情報提供とともに、地域ごとのニーズを知ろうとしてきた。2010年に京都に宿泊した外国人観光客は、過去最高の98万3854人。10年前のおよそ2.5倍だ。

海外メディア招いてPR

   順調に推移してきた京都の観光事業に、3月の震災・原発事故は大きな打撃となった。京都市の観光振興課によれば、震災直後の一時期は外国人観光客が「ほぼゼロ」に陥り、現在でも例年の半分ほどに留まっているという。

   日本を訪れる外国人観光客の7割はアジアからだが、京都では逆にアメリカ、ヨーロッパなど欧米からの訪問が7割を占める。特にヨーロッパには日本の放射能汚染への恐怖感を持つ国も少なくなく、依然向かい風が続いていると言える。

   京都市も、手をこまねいているわけではない。海外拠点を通じた積極的な情報発信に加え、「今の京都の状況を実際にその目で確認し、正確な情報を伝えてほしい」という狙いから、海外メディアなどの招致にも力を入れる方針だ。また外国人向けの24時間対応コールセンターを2011年9月から試験的に設置するなど、観光の「質」を高める方策にも力を入れることにしている。