2024年 3月 19日 (火)

支援に関わらないと人生で損をする【岩手・花巻】

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落花生の雨あらしにギブアップする鬼たち=花巻市の大沢温泉で
落花生の雨あらしにギブアップする鬼たち=花巻市の大沢温泉で

(ゆいっこ花巻;増子義久)

   「鬼は外~! 津波も出て行け~っ! どうだ、参ったか」―節分の3日、花巻市内の温泉の大広間に張り裂けんばかりの声が響き渡った。「いわてゆいっこ花巻」が同市内に住む一人暮らしの被災者を招いて開いた日帰り温泉ツアーのひとこま。参加者は被災者17人とボランティア18人の総勢35人。鬼役の男性ボランティアをめがけて落花生の集中砲火が浴びせられた。


   「一人暮らしのお年寄りは部屋に引きこもり勝ち。孤立が気持ちを萎えさせる」と昨年暮れ、年配のボランティアを中心に"見守り隊"が結成された。この日のイベントはその第1弾。落花生の雨あらしに鬼たちもついに降参。鬼退治の 先頭に立っていた三浦千鶴子さん(67)がしみじみと語った。「地震も津波もただ追い払うだけではダメだよね。つまり自然とどう折り合いをつけて生きていくかということ。だから鬼たちとも仲良くしなくっちゃね」


   一風呂浴びた後は隠し芸のオンパレード。民謡で自慢のノドを披露するかと思えば、花魁(おいらん)の仕草の踊り…。「浜の人に負けてはいられない」と今度はボランティアの江川サツミさん(68)が絵手紙メッセージのプレゼント。「おひさまに/はげまされ/ゆっくりとりもどしたい/心の朝」…。草花の絵手紙に一人ひとりに宛てたメッセージを夜なべして考えた。「力をもらった感じ。部屋の壁に張って毎日、声を出して読むようにします」と佐藤美津さん(73)。

♪大津波/くぐりてめげぬ/雄心(こころ)もて/いざ追い進み/参(ま)い上らまし♪…。

   フィナーレは参加者全員による「復興の歌」の大合唱。昭和8年の昭和三陸津波の1年後、当時の石黒英彦岩手県知事らが関わり、この歌が出来あがった。今回の大震災をきっかけに沿岸被災地で歌われるようになった。「ストレスの発散にはやはり歌が一番」。花巻に転居した被災者を中心に「被災者混成合唱団」(仮称)を結成しようという機運が一気に盛り上がった。


   身じろぎをしないで被災者の一人と話し込んでいた塩本征夫さん(38)がポツリともらした。「最初は傾聴ボランティアを気取っていたが、最近ではこっちが傾聴されているみたいな感じ。とにかく元気をもらう」。東京の会社をリストラされた塩本さんは昨年夏から「遠野まごころネット」を拠点に被災地での支援を続けている。「支援に関わらないと人生で損をするような気がして」


心にしみる絵手紙メッセージのプレゼントにニッコリ=花巻市内の大沢温泉で
心にしみる絵手紙メッセージのプレゼントにニッコリ
=花巻市内の大沢温泉で
「被災者混成合唱団」の結成のきっかけとなった大合唱=花巻市内の大沢温泉で
「被災者混成合唱団」の結成のきっかけとなった大合唱
=花巻市内の大沢温泉で


ゆいっこ
ゆいっこネットワークは民間有志による復興支援団体です。被災地の方を受け入れる内陸部の後方支援グループとして、救援物資提供やボランティア団体のコーディネート、内陸避難者の方のフォロー、被災地でのボランティア活動、復興会議の支援など、行政を補完する役割を担っております。
ゆいっこは、「花巻」「盛岡」「北上」「横浜」「大槌」の各拠点が独立した団体として運営しておりますが、各拠点の連携はネットワークとして活用しております。
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