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なでしこジャパン「負けてよかった」 ロンドン五輪「金メダル」に王手

   女子サッカーの国際親善大会・アルガルベ杯が準優勝に終わった日本女子代表「なでしこジャパン」が大絶賛されている。ドイツに敗れたとはいえ、2012年7月のロンドン五輪での「金メダル」に手応えをつかんだと、「負けて、なお強し」の評価だ。

   日本のエースであり、「なでしこ」の精神的支柱である澤穂希選手を欠いての戦いにも、米国戦で1‐0の勝利。3月7日のドイツ戦でも3度引き離されては追いつく執念をみせた。

若手成長「澤選手抜き、テストしながらでも米国に勝った」

   なでしこジャパンは、アルガルベ杯の決勝で世界(FIFA)ランク2位のドイツに3-4で敗れ、準優勝に終わった。序盤に2点を失いながら、前半35分に川澄奈穂美選手、後半10分には澤選手の「代役」に抜てきされた田中明日菜選手がゴール。後半43分にはPKで勝ち越されながら、その2分後には永里優季選手が同点弾を放ち、土壇場で再び追いつく劇的な展開は、PK戦の末に勝利した昨年7月のW杯決勝の米国戦を彷彿させた。

   翌3月8日のスポーツ紙は、そんな「なでしこ」の健闘を称えるとともに、ロンドン五輪の金メダルもほぼ間違いなし、といった勢いの見出しが躍った。

「なでしこ悔し!!激闘3発 ロンドン『金』へ手応え準V」サンケイスポーツ
「2度追いつくも…なでしこ悔しい準V 五輪で『金』必ず」スポーツニッポン
「なでしこ 粘りの大和魂! アルガルベ杯」日刊スポーツ
「なでしこ3発準V!底上げできた!2度追い付いた…アルガルベ杯」スポーツ報知

といった具合だ。ロンドン五輪にドイツは出場しないので、なおさらボルテージがあがる。

   サッカーでの4点は大量失点といってもよい。なでしこにしても、4点を失ったのは2008年8月の米国戦以来のこと。ドイツ戦でも守備への不安やパワープレーに課題を残したようにもみえたが、それでもなお、「驚異的な粘り」が光った。

   サッカージャーナリストで関西大学客員教授の後藤健生氏は、「W杯後の若手の成長は目覚しい」と目を細め、「とにかく澤選手抜きで、しかもテストしながらFIFAランク1位の米国に勝ち、2位のドイツとほぼ互角に戦ったんですから、実力は本物です。昨年のW杯のときは押されっぱなしで、正直、よく勝ったなという印象でしたが今回はまったく違いました」と、ベタ褒め。「(ロンドン五輪の)金メダルはグンと近づいたといえます」と語る。

   阪口夢穂選手(身長165センチ)や永里優季選手(168センチ)といった身体の大きな選手が活躍。「戦術面や技術面だけでなく、身体の大きさや強さでも(海外と)勝負になるようになった」ことが大きな収穫とみている。

W杯ではイングランドに敗れて優勝した

   2011年7月のW杯で、2連勝で決勝トーナメントへの進出を決めていた、なでしこジャパンはグループBで首位通過を狙ったが、イングランドに敗れて2位通過となった。

   国際大会での敗戦はそのとき以来だが、W杯後に澤選手らメンバーはイングランド戦の敗戦で反省点を見つけられたことが優勝につながった、と口を揃えた。

   もともと、なでしこジャパンの佐々木則夫監督は、アルガルベ杯をファーストステップ、米国やブラジルと対戦する4月の親善試合をセカンドステップとし、6月の欧州遠征を総仕上げにと、五輪強化プランを練っていた。

   アルガルベ杯に「負けてよかった」わけではないが、「(ロンドン五輪へ向けて)手応えもあれば、改善しないといけない面もある」と、佐々木監督には「やるべきこと」が見えているようで、ロンドン五輪への期待は高まるばかりだ。