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新聞の購読削減「まことに遺憾」 新聞協会声明を岡田副総理が一蹴

   岡田克也副総理がコスト削減策の一環として、新聞や雑誌などの定期刊行物の購読部数を大幅に減らす方針を打ち出していることを受け、日本新聞協会(会長・秋山耿太郎朝日新聞社長)は2012年4月23日、「まことに遺憾」などとする意見書を行政改革実行本部長の野田佳彦首相宛に提出した。

   意見書では「より多くの職員が新聞を読み、情報収集を行うべき」と主張しているが、岡田氏は「思わず苦笑いをしてしまった」「『いらない』と言っている訳ではない」と、これを突っぱねた。

12年度は金額ベースで30.5%カット

   岡田氏が、最初にこの削減策を持ち出したのは2012年3月6日の会見。

「私の部屋にも新聞6紙あるが、うち3紙は自宅でとっているので、その3紙については必要がないというふうに指示した。そういったことを政府を挙げて進めていくなかで、コストを削減していくことが必要」

と、問題意識を披露した。岡田氏は、各省庁にも削減を指示。4月3日の会見で明らかになったところによると、11年度の中央官庁での定期刊行物の購読費用は13億2,252万円で、12年度はこれを金額ベースで30.5%カット。4億344万円が浮く計算だ。部数ベースでは、35%の削減だ。この4億円は霞ヶ関の本省での削減分で、今後、地方の出先機関でも削減を進めていく方針だ。

「政府が率先して活字離れを助長」というトンデモ主張

   これに対して、新聞協会の意見書では、学習指導要領で新聞の活用がうたわれていることを引き合いに、

「国を挙げて言語活動の充実を推進しようとするなか、新聞の購読部数削減により、政府が率先して活字離れを助長しているかのようなメッセージを国民に与えてしまうことが懸念されます」

と主張。その上で、

「国民の生活や利益を守るべき公務員は、日本や世界の情勢のほか、民意を絶えず把握する必要があります。そのためにはより多くの職員が新聞を読み、情報収集を行うべきだと考えます」

と、購読部数を維持する必要性を強調した。

   だが、意見書が出された翌日にあたる4月24日の会見では、岡田氏は、

「ひとつのご意見としては、受け止めさせていただきたいと思う」

と突き放した。

内閣府だけで年1億4500万円に「非常に違和感を持たれる国民のほうが多い」

「私は、うーん、まぁ、思わず苦笑いをしてしまいましたが」

とも述べ、「過剰かどうかということで判断しているので、『いらない』と言っているわけではない。これだけ沢山とっているものを適正な規模にすることが『民意を把握しないことにつながる』という風には、私は考えていない」

と、意見書の「公務員は~」のくだりに反論した。

   また、いわゆる「新聞離れが進む」という議論に対しても、岡田氏は3月16日の会見で、

「新聞、雑誌で1億4,500万。(内閣府だけで)それだけ年間払っているということについて、非常に違和感を持たれる国民のほうが多いのではないか」

と反論している。