電子書籍なのに紙の本より高い 「不思議」な値段設定なぜなのか

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   大手出版社の文藝春秋が、2012年3月から「月刊文藝春秋」の電子版を国内で販売開始した。海外在住者向けには既に配信していた電子版だが、国内の読者からも要望が高かったためという。

   ところが電子版の価格は1000円で、紙版の840円を上回る。ほかにも国内の出版社では、同じ内容の書籍で電子版と紙版を同額にしているところもある。米国では、電子書籍の小売価格が紙版の定価の半額というケースがある点を考えると、国内ではいまだに割高な印象がぬぐえない。

アマゾンの電子版販売価格は半額以下

「月刊文藝春秋」がスマートフォンでも読めるようになったが、紙版より高い
「月刊文藝春秋」がスマートフォンでも読めるようになったが、紙版より高い

   「月刊文藝春秋」電子版は、インターネットの電子書籍販売サイトで購入可能だ。電子書籍専用端末を使って、あるいはスマートフォンやタブレット型端末、パソコンに専用ソフトを入れて閲覧する。

   価格が1000円と、紙版より高く設定した理由について文藝春秋事業開発局は、「電子書籍を紙の本より安くするところはあるが、当社は必ずしもそれにならわなくてもよいと判断しました」と回答した。加えて電子版の制作に伴う手間や費用を考慮し、社内で検討したうえで決めた値段との説明だ。

   しかし電子版では、紙版で連載されている作家、村上龍さんの小説を「ご本人の意向をくんで掲載していない」(文藝春秋事業開発局)という。値段が高いうえに中身も減っているとなれば、「損した」と感じる読者がいるかもしれない。

   電子書籍の値付けは出版サイドによってまちまちだが、紙版と同額というケースはしばしば見られる。2011年に発行された「スティーブ・ジョブズ」(講談社)は電子版、紙版ともに1、2巻それぞれ1995円だ。一方、米国での価格を見ると紙版の定価は35ドル(約2800円)なのに対して、米アマゾン・ドット・コムの「キンドルストア」で扱われている電子版の販売価格は14.99ドル(約1199円)と半額以下となっている。もっともアマゾンは紙版を16.85ドル(約1348円)まで値下げしているが、それでも電子版の方が「お得」なのは変わらない。

   岩波書店は2012年4月から、既刊書籍を中心に電子版の配信をはじめた。だが価格はいずれも紙版との差がゼロだ。

   米アマゾンでは電子書籍がハードカバーと比べて低価格で販売されていることから、国内の電子書籍の値段に関して消費者の間で不満が聞かれる。インターネット掲示板では、「紙版と電子版が同じ価格で発売」といったニュースが流れると「その価格なら普通に本買う」「電子書籍が普及しないわけだ」と批判的なコメントが並ぶ。

高額な「キンドル」普及のため電子書籍を大安売り

   もちろん国内でも、電子版の価格の方が低いケースは存在する。昨年のベストセラー作品から、サッカー日本代表、長谷部誠選手の著作「心を整える。」を例にとると、紙版が1300円なのに対して電子版は900円。ほかにも同様の事例はある。それでも新刊本の場合、紙版の制作に使ったコンテンツのデジタルデータをそのまま電子版に転用すれば、それほど手間はかからないようにも思える。しかも印刷が不要で、本の在庫管理も省ける。紙の本よりずっと安くても当然だとも考えられる。

   野村総合研究所上級コンサルタントの前原孝章氏に聞くと、「電子書籍が高い理由のひとつは、制作コストの問題」と説明する。ルビをふる、紙版の「趣向を凝らした」デザインをそのまま反映する、画面上で文字の大きさを変えられる仕様にしても改行がずれないようにする、といった細かな作業が発生するため、単純に「自動変換」で電子化できないというのだ。作業者が目視で電子版のページをすべてチェックするという「アナログ」な工程もある。加えて、著者との契約によっては紙版とは別に印税を支払わねばならない。

   もうひとつはビジネスモデルの問題だ。米アマゾンは電子書籍端末「キンドル」を発売した当初、数百ドルと高価な端末を普及させるため、出版社からの仕入れ値よりも安い小売価格で電子書籍を販売、市場で主導権を握るため「出血覚悟」で、言わば電子書籍を宣伝材料に使ったのだ。しかし日本の出版社の場合、自前で端末を販売しているわけではない。電子書籍コンテンツ単体で、制作コストを回収したうえで利益を生むとなれば「紙版より安くする理由がない」(前原氏)。

   アマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者は、2012年中の日本市場参入を明らかにしている。現在は電子書籍の小売価格の決定権をどちらが持つのかをめぐって、アマゾン側と国内出版社側とで「綱引き」が行われている最中とみられるが、本格参入となれば出版社の事情にかかわらず、否応なしに電子書籍の「価格破壊」が起きるかもしれない。

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