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「AKB商法には問題がある」 自民参院議員が自主規制呼びかけ

   アイドルユニット「AKB48」の総選挙では、投票券付きのCDを1人で大量に買うファンがいて、イベントのあり方が論議になった。このことについて、自民党の礒崎陽輔参院議員が、ツイッターで疑問を呈し、話題になっている。

「同じCDが投票のため何枚も買われていると聞きます」

一人一票にすべきだ、と主張

「AKB商法」を疑問視
「AKB商法」を疑問視

   礒崎陽輔参院議員は2012年6月8日、こんなツイートで口火を切った。AKB48の総選挙では、投票権が金で買われているとし、「コンプガチャと同様の問題があると考えます」と指摘した。

   その詳しい説明はなかったが、ソーシャルゲームのコンプリートガチャは、特定のアイテムを数種類そろえると希少性の高いアイテムが手に入るその課金方法が批判され、各社が廃止に踏み切った経緯がある。礒崎氏はそのうえで、やり方は難しい可能性があるものの、「『一人一票』を選挙管理規則に規定すべきでしょう」と訴えた。つまり、CDは1枚買えばいいということだ。

   このツイートは、反響を呼び、様々な意見が寄せられた。礒崎氏は、それらにリプライし、主に青少年健全育成の観点から問題があると考えたと説明した。翌9日には、さらに補足し、投票権は「経済上の利益」ではないので法的な規制はできないものの、子どもたちのことを考えて、「何らかの自主規制は考えてほしい」と呼びかけた。

   礒崎氏はまた、メディアのあり方も批判した。NHKは、AKB総選挙の報道に長く時間を割いていたとして、「公共放送として、異常です」と指弾している。

   ネット上では、礒崎氏の発言についての捉え方は様々だ。

   「問題視されない方がおかしいよ」「総選挙のシステムは改善するべき」と、礒崎氏に賛同する声は多い。一方で、「コンプガチャとどこが同じなんだか」「日本経済の為にはAKB総選挙は必要」などと、異論も書き込まれていた。

   「AKB商法」とも揶揄される投票券付きCD販売は、コンプガチャと比べるとどう見られているのか。

消費者庁「コンプガチャとは違う」

   消費者庁の表示対策課では、コンプガチャと同じ問題との見方に否定的だ。

「コンプガチャは景品表示法上、問題がありました。判断能力が未熟な小学生や幼児がのめり込んで、親に高額な請求も相次いでいます。しかし、AKBの場合は、直ちに法的な問題点を指摘することができません。判断能力がそれなりにある人がお金を注ぎ込んでいることも多く、コンプガチャとは違うと考えられます。子どもの射幸心についても、コンプガチャほどではありません」

   消費者政策課に取材しても、国民生活センターからの働きかけはなく、消費者庁として動いていることはないとした。国民生活センターの広報室では、「子どもがCDをたくさん買って困るというのは家庭の問題で、そのような相談は基本的には各消費生活センターで受けていません」と言っている。

   コンプガチャとどのような共通点があるのか、礒崎陽輔事務所に聞くと、「ツイッター内でのお話ですので、取材はお断りします。ほかに特にお話しすることはありません」(担当秘書)とのことだった。

   AKBの運営会社AKSでは、広報担当者が「礒崎議員のご発言を存じ上げておりませんので、お答えのしようがありません」とだけ話した。総選挙のあり方に批判が出ていることについては、「終わったばかりですので、コメントを出せるような情報の整理ができていません」としている。CD販売元のキングレコードでは、担当者が外出しているとして話が聞けなかった。