2024年 4月 20日 (土)

TPP交渉で日本「出遅れ」「大誤算」 「小沢離党」で民主の反対派減るか

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   消費税、原発と並ぶ政権の三大課題の一つに数えられる環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉への参加問題で、日本の出遅れが一段と鮮明になっている。

   2012年6月18、19日の20カ国・地域首脳会議(G20)の際に、野田佳彦首相からオバマ米大統領に交渉参加を伝えるシナリオも検討された時期があったが、消費税政局のあおりで吹き飛び、日本抜きのルール作りが進む懸念が強まっている。

参加は「3国同時」の読みが狂う

   G20を舞台にした首脳外交の中で、日本は2連発の強烈パンチを浴びた。まず18日、オバマ大統領とメキシコのカルデロン大統領の会談で、メキシコの交渉参加が決まった。TPP交渉には米国など9か国が参加しており、新たに加わる国は、全9カ国の同意が必要。メキシコは米国以外の8カ国の同意も取り付けた。2発目のパンチは翌19日。オバマ大統領とカナダのハーパー首相の会談で、メキシコ同様にカナダのTPP交渉参加も決まった。

   この2カ国は昨年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)に前後して、日本とほぼ同時に交渉参加を表明していたが、「実際には日本の参加検討を受けて加わる方針を打ち出したもので、参加は3か国同時になる」(政府筋)との見方が一般的だった。

   実際、G20前日の17日の野田首相とカルデロン大統領の会談後、日本政府は「交渉参加に向け、両国が緊密に情報交換していくことで一致した」と発表していただけに、オバマ・カルデロン会談で恥をかかされた形。今回、野田首相はオバマ大統領とはG20会議の合間に「立ち話」をしたにとどまり、「日本の交渉参加に向け両国が努力することで一致した」だけ、つまり具体的には何の進展もなかった。

   それでも、メキシコは従来から貿易自由化に熱心で、「米国にとってTPPに受け入れやすい仲間」(政府関係者)だけに、意外性は少なかったが、カナダの参加には日本政府もショックを隠せない。米国、メキシコとともに北米自由貿易協定(NAFTA)を構成するカナダだが、「牛肉やバターなど農業保護政策をとっており、米国は簡単にTPP交渉参加を受け入れない」(通商筋)との見方が強かったからだ。

「大連立」視野に国内調整

   政府の説明を真に受けていたマスコミも「カナダには虚を突かれた」(大手紙経済部デスク)形で、多くの大手紙がメキシコの参加を受けて日本の出遅れを指摘する大きな解説記事を掲載。その日の記事の中で、わざわざカナダ参加が容易でないと触れた読売は、カナダ参加が決定した翌日に一段と大きな記事を展開し、「日本誤算」「米に甘え、油断」などと書き込んだ。

   この記事が指摘するように、小さな国と米国による交渉だったTPPが、昨秋の日本の参加意欲表明で一気に格が上がったことから、米国は日本に配慮するはずと、高をくくっていた日本政府の読み違いは否定できない。

   米国に交渉参加の90日前までに議会に通告するルールがあるため、日本が年内に参加するには、9月のAPEC首脳会議あたりまでで参加表明する必要があるが、野田内閣は消費税最優先で進んできたため、農業団体を中心に反対が根強いTPPについての国内調整は「後回し」(政府関係者)にされてきたのが実態だ。

   ただ、消費税をめぐり、事態は3党合意、小沢一郎元代表グループの造反に至り、国内調整が進むとみる読みもある。民主党内のTPP慎重・反対派は、消費税増税に慎重・反対派とかなりの部分、重なるので、小沢氏のグループが離党するなどで、党内の反TPP派も減るというわけだ。自民党もTPPに慎重論が根強いが、「半分与党化した今、TPPもまとめる方向で動かざるを得ないし、それは与党時代の自民党がやってきたこと」(民主党議員)。

   「民自公の消費税合意は大連立を視野に入れたもの」(大手紙政治部デスク)であるとすれば、消費税以外の諸懸案であるTPPでも意外に早く前進するという見立てになるのだが。

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