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スマホ訴訟の痛手大きくサムスン急落 注目される東京地裁の判決

   韓国のサムスン電子の株価が急落している。米カリフォルニア州連邦地裁で争われていた米アップルとのスマートフォン(高機能携帯電話)などの特許をめぐる訴訟で、アップルに全面的に敗訴したためだ。

   一方、勝ったアップルはスマホ市場で優位に立つとの見方から買いが広がり、株価は急騰。2012年8月27日の米ニューヨーク株式市場で、前週末比1.9%高の675.68ドルで取引を終え、過去最高値を更新した。

サムスンの時価総額、1日で9500億円が吹き飛ぶ

   アップルとサムスンのスマホをめぐる特許訴訟で、米連邦地裁は2012年8月24日、サムスンがアップルの一部特許を侵害したことを認め、サムスンに約10億5000万ドル(約826億円)の支払いを命じる評決を言い渡した。

   これを受けてアップルは27日、サムスンの「ギャラクシーS2」や「ドロイド・チャージ」などのスマホ8機種の米国での販売差し止めを求める方針も明らかにしている。

   週明けの8月27日のソウル株式市場で、サムスン株の終値は前週末に比べて7.45%急落し、118万ウォン(約8万3000円)となった。下落率としては約4年ぶりの大幅な下げで、ロイター通信によると、時価総額で約120億ドル(9500億円)が1日にして吹き飛んだ計算という。

   サムスンは営業利益の約6割をスマホ事業などで占める。特許侵害でアップルに対して、多額の損害賠償を支払わなければならないことから、嫌気がさして売られたとみられる。特許侵害で「模倣」「ものマネ」といったイメージダウンもある。

   ただ一方で、最新機種の「ギャラクシーS3」が今回の訴訟の対象になっていないため、業績については楽観視する向きもあり、翌28日のサムスン株は終値で119万5000ウォン、前日比1.27%高と反発して引けた。

アップルとグーグルの代理戦争

   とはいえ、サムスンが不利な状況に変わりはない。アップルとサムスンのスマホをめぐる特許訴訟は、日本でも東京地裁で、サムスンがアップルの「iPhone4」の販売差し止めを訴えた裁判の判決が、8月31日に下る予定だ。

   ソウル地裁の判決でもサムスンの特許侵害を一部認めており、東京地裁での判決に注目が集まっている。

   サムスンは、米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を携帯端末に採用しており、今回の訴訟はアップルとグーグルの代理戦争ともいわれる。アップルの勝訴が確定すれば、世界のスマホ市場で約7割を占めるグーグル陣営にとって大きな打撃となる恐れがある。「アンドロイド」を搭載したモバイル端末がデザインの変更を余儀なくされ可能性があるからだ。

   ちなみに、8月27日のニューヨーク株式市場でのグーグル株は前週末に比べて1.4%安で取引を終えた。

   日本でも東京地裁の判決しだいでは、サムスン製の「ギャラクシー」シリーズなどを販売しているNTTドコモや、「アンドロイド」搭載のモバイル端末を製造しているシャープやソニーなどのメーカーの株価にも響きそうだ。