連載:苦悩するギリシャ(3)
アテネ市内にあふれる 落書きと警官の姿

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   ギリシャの金融危機は、政府が長年隠ぺいしていた財政赤字が表面化したのが発端だった。その張本人が実は、2012年6月の総選挙に「緊縮財政、ユーロ圏残留」を掲げて勝利した新民主主義党(ND)だ。国民の間では政治不信が頂点に達するが、それでもND中心の現政権に命運を託さざるを得ない。

   国の経済は打撃を受け、人々は数年来続く耐乏生活に嫌気がさしている。「この国はどこへ向かうのか」。市民の不安は募るばかりだ。

大統領官邸付近はバリケード

アテネ中心部のシンタグマ広場でも落書きがみられた
アテネ中心部のシンタグマ広場でも落書きがみられた

   記者が3日間、アテネ市内を歩いて特に感じた点が2つある。ひとつは落書きの多さだ。市の中心部で見かけた数多くの建物には、その壁やシャッターにスプレーで吹き付けた落書きがあふれていた。街の様子をカメラに収めようとすると、落書きのない風景を撮るのが難しいほどだ。

   地下鉄モナスティラキ駅からシンタグマ駅へ歩く途中、内部がガランとなったテナントビルや、ベニヤ板で入り口をふさいだ建物をちらほらと見かけた。この周辺は2011年秋以降に起きた反政府デモの「舞台」になっており、デモ隊に破壊されて撤退を余儀なくされた店もありそうだ。だが空き店舗が多いのは、ここだけではなかった。現地の人に話を聞くと、事業が不振で店をたたむケースが増えているようだと話した。知人と車で移動中、時折「ここは閉店になった。あそこも」と教えてもらうこともあった。

   もうひとつ目立ったのが、警官の姿だ。地下鉄の駅の構内で数人見かけたのを皮切りに、観光スポットの土産物屋街、デパート周辺、シンタグマ広場と行く先々で必ず目にした。街の様子は平穏そのものに見え、駅の往来や喫茶店でのんびりくつろぐ人、ショッピングを楽しむ人を見ていると、大勢の警官が必要なほど物騒なのかと不思議に感じた。

   夜になると、警備はますます強化されていた。深夜、アテネ在住の知人に車で市中心部を回ってもらった。国会議事堂を過ぎて2、3分も走ると、暗い雰囲気の一角が現れた。「この辺は、麻薬の取引も行われていて治安が悪い」と知人は顔を曇らせる。通りの角には複数の警官が立っていた。その後、大統領官邸に近い道に出た。すると今度は、重装備の機動隊のような数人が目に飛び込んできた。官邸に通じる細い道にはバリケードが張られている。反政府デモが多発して以降、不審者が官邸に近づけないようにして大統領の身の安全を確保するための措置だそうだ。

ギリシャ人が「怠け者」のように言われるのがつらい

シンタグマ広場から国会議事堂を臨む
シンタグマ広場から国会議事堂を臨む

   ギリシャ滞在中、現地の人と何度か食事を共にして話を聞いた。年齢や立場が違う人たちだが、誰もが共通して抱えていたのが「事態が日々激しく変化していて、将来どうなるかが分からない」との不安だった。

   同時に、「不安定な国情の原因は政府だ」と政治への不信感や怒りが高まっている。「政策がいきあたりばったり」「後先を考えず、無計画」と評価は手厳しい。2001年にユーロ加盟を果たし、アテネでは新空港の建設をはじめインフラ整備が進んだ。2004年にはアテネ五輪が開催され、ユーロ圏の一員としてギリシャの人々は明るい未来を描いていたはずだ。そこに水を差したのが、政府が隠し続けていた巨額の財政赤字。景気は一気に冷え込み、国際的な信用が損なわれ、負債のツケは国民に回された。政府にだまされた――。そんな思いを強める人は少なくない。

   記者がギリシャで会った人々は、今も夫婦共稼ぎで生計を立てている。長年まじめに積み上げてきた自負があるだけに、「ギリシャ人が『怠け者』のように言われるのがつらい」と、ひとりの男性は打ち明けた。

   仕事を持つ彼らでも、給与カットや高騰する税金に頭を悩ます。会社の合併にともなって同僚が解雇される姿を見た人もいる。自力で起業するビジネス文化も、それを支援する風土も育っておらず、失業者が自営業でやり直すのは困難だ。行動を起こそうにも打つ手がなく、それでも緊縮財政の余波は今後も容赦なく襲いかかってくる。

   視界不良のなか、ギリシャは再建にこぎつけられるだろうか。

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