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ドタバタの末にWBC「山本ジャパン」 出遅れたOB監督に3連覇など無理な注文?

   第3回WBC(ワールド・ベースボールクラシック)に出場する日本代表チームの監督は2012年10月10日、すったもんだの末に山本浩二に正式決定した。これから選手選考に入るのだから準備不足もいいところ。3連覇は容易ではない。

現役監督にフラれたから仕方なく・・・

   山本は「大変な名誉。光栄だ」と監督発表の席で語ったが、彼に近い人によれば「当初はその気がなかった」という。第1回優勝監督を務めた王貞治(ソフトバンク)に頼まれ、仕方なく引き受けることになったようだ。

   これまでの監督は前回の原辰徳(巨人)を含め二人とも現役の監督だった。広島監督を退いてから7年も経つ山本にすれば「勝負カン」に不安がある。その点について「解説者としてネット裏から見ていた」と苦しい説明。「現場に近いコーチを入れた」と付け加えるのがやっとだった。

   日本は当然、3連覇が目標である。だから加藤良三コミッショナーは現役監督に最初はこだわった。原の再登板、ソフトバンクの秋山幸二らを候補に挙げた。ところが原は早々と断ったというし、秋山は頭からやる気なし。断られたから山本に頼み込んだというのが真相らしい。

   山本としてはえらくプライドを傷つけられた話なのだ。しかし「日本球界のため」と王に口説かれては断り切れるものではない。王が特別顧問、原がシニアアドバイザーに就き、山本をサポートするのだが、これはOB監督に不安があると認めているようなものである。

名将・トーレ監督を早々と決めた米国の「本気度」

   米国からの情報によると、米国はベストメンバーを編成して優勝を狙うと気合いが入っている、とのこと。その証しがジョー・トーレを早々と監督に決めていることだ。トーレはヤンキース監督として3連覇を含む通算4度のワールドチャンピオンに輝き、つい最近までドジャース監督としても力を示した。早い時期に監督が決まっていたので、代表選手をじっくり見ており、準備が十分整っている。

   かたや日本の山本は監督就任の話は9月の終わり。候補選手の選定など全く行われていない。監督発表のときはすでにセ、パともレギュラーシーズンは閉幕していた。それで「3連覇を狙え」というのだから、コミッショナーの能天気にはあきれるばかりだ。

   このドタバタを知っているだろうイチローをはじめとする日本人大リーガーが快く参加するかどうか疑問である。王と原は彼らを参加するための交渉役なのかもしれない。

   米国が本気になっているのは日本の選手会が金銭問題を理由に「参加拒否」をぶち上げたことがあるという。言い分が通らないと、一転して「参加する」。その行動は開催に汚点を残したと受け取っている。

   頼みのスポンサーも監督発表の時点では、スポーツ用具メーカー1社だけといわれている。出遅れ山本ジャパンの前途は苦難だらけのようだ。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)