2024年 4月 26日 (金)

「金属」と「電線」が来春合併 日立グループ再編、中韓やGEなどに対抗

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   日立製作所の東証1部上場子会社である、日立金属と日立電線が2013年4月1日に合併することで合意した。業績が悪化していた日立電線を救済する側面もあるが、社会インフラ事業に経営資源をシフトする日立グループとして、米ゼネラル・エレクトリック(GE)などに対抗するために体制を強化する狙いもある。

2社合わせて1兆円企業の誕生

「国内市場が低迷する中、両社の経営資源を集め、海外市場を開拓する」

   日立電線の高橋秀明社長は2012年11月13日の合併発表の記者会見でこう強調した。同席した日立金属の藤井博行社長も「社会インフラを重視する日立グループ全体を、我々は素材でサポートしていく」と述べ、今回の合併を通じて経営効率化を進め、日立グループとして新興国の社会インフラ事業獲得を狙って海外展開を強化する方針を表明した。

   日立金属はハイブリッド車などのエコカーの駆動用モーターに欠かせない「高性能ネオジム磁石」という成長市場で世界シェア約4割を握る優良企業。2012年3月期の売上高は5569億円。プラスチック樹脂加工などを手がける日立化成工業と、合併相手である日立電線とともに「日立御三家」と呼ばれるグループの中核企業の一つだ。

   一方の日立電線は国内外の電力会社向けの電線が主力事業で、2012年3月期の売上高は4325億円。国内の電力会社の設備投資が盛んな時代にはグループの収益をけん引する存在でもあったが、近年は国内需要が伸び悩んでいる。「御三家」の一角でありながら、2013年3月期まで5期連続で最終赤字となる見通しだ。ただ、送電網整備や鉄道敷設が急ピッチで進む新興国では、まだまだ潜在的な成長力を持つ。ただし、現状のままではジリ貧なのは隠しようのない事実なので、広く海外に生産・販売の拠点を持つ日立金属と合併することで活路を見いだしたい考えだ。両社の売上高を単純合算すると1兆円規模の金属材料メーカーとなる。

「聖域なき大改革」

   両社の合併は、日立グループとしては近年の再編の第2弾となる。

   日立製作所はリーマン・ショックの影響もあって2009年3月期に製造業として過去最悪となる7873億円の最終赤字に陥った。これを機に重複事業の整理統合などの経営改革に着手し、2010年には日立マクセルなど上場子会社5社を完全子会社化し一体化した。

   事情を知らない人から見れば「何だそれ?」となるかも知れないが、日立製作所第3代社長の駒井健一郎氏が経営原則に「自主独創」を掲げたように、日立は伝統的に子会社の独立性を重んじており、劇的な方向転換だった。今回はさらに一歩進めて「御三家」と呼ばれる中核の3社のうちの2社が合併するのだから、関係者からすれば「聖域なき改革」(日立製作所幹部)と映る。

   それもこれも、日本を代表する電機メーカーグループでさえ、背水の陣を敷かざるを得ないことを示している。新興国攻略は中韓メーカーも注力しており、時間との戦いだ。

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