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松井と松坂は日本に帰るしかない! 米球界から「オファーなし」

   松井秀喜と松坂大輔が取り残されている。松井は2012年7月にレイズから戦力外通告を受け退団。松坂もレッドソックスとの契約が切れ、2人とも現在は行く先自由の状態なのだが、12月初めのウインターミーティングではどのチームからも声がかからなかった。さあ、どうする…。

黒田、上原、そしてイチローの契約の陰で……

   このオフ、黒田博樹がヤンキースに残ることになり、1年1500万ドル(約12億3000万円)で契約(11月20日)。続いて上原浩治がレッドソックスと1年425万ドル(約3億5000万円)で決まった(12月6日)。そしてイチローもヤンキースとの再契約が進展しているようだ。

   対照的に、松井秀喜と松坂大輔にはオファーなし。松井はヤンキースの主力だったし、松坂はレッドソックスのエースだった。その2人が所属したチームに、他の日本人選手が契約するのだから、勝負の世界は非情である。

   松井はヒザの故障を抱えている。2012年はシーズン途中からレイズに入団したが、しばらくして解雇された。右腕手術の松坂は前半戦に戦列に戻ったものの、出ると打たれるの繰り返し。シーズン終了と同時にグッドバイとなった。

   2人は依然として「大リーグでプレー」を望んでいる。ウインターミーティングが始まったころ、日本のメディアは「松井にアスレチックスが関心」だとか「松坂には数球団が興味」などと報じたが、これらはほとんど実態のないものだった。松坂の代理人は「何もなかった」と最後に苦渋の表情を見せた。

「故障持ち」は相手にされない現実

   ウインターミーティングは翌年の戦力補強を図る重要な会議。対象選手は故障のない選手であって、故障持ちなど最初から相手にされない。しかも所属球団のない松井や松坂などは論外だった。代理人がロビー活動をしていたが、口だけではとても契約には至らない。

   松井と松坂が大リーグ、あるいは米球界に残るための道は、来年春のキャンプに参加してプレーが出来ることを証明する以外にない。松井は走れること、守れることを示し、松坂はしっかりと投げられることを監督の目の前で見せることである。

   とりわけ松坂は厳しい状況にある。復帰後のピッチングがあまりにもひどかった。投手のヒジ手術で最初に成功したトミー・ジョンはドジャースが、村田兆治はロッテがともに契約を維持。1年以上もカムバックするまで待っていてくれた。

   その点、松坂は大型マルチ契約選手だっただけに、契約が切れた時点で終わり。「力の切れ目が縁の切れ目」となった。孤独な調整、回復、復帰しかない。松井も同様である。

   現実的には、2人とも大リーグではもう無理とみていい。頑張ってもファーム契約だろうし、よしんば大リーグに上がってもパートタイマーで使われる程度だ。ここは早く店仕舞いして帰国し、日本で再起を期した方が現実的だ。来シーズンも行き先が決まらず単独練習を続けたら、選手生命は断たれるだろう。

   松井の場合、パ・リーグで指名打者ならまだやれる。松坂は最低年俸でも我慢して古巣の西武に戻り、練習の場を確保することである。大リーグに行ったとき、レッドソックスから日本円にして60億円を西武にもたらしたというから、そのくらいの面倒はみてくれるだろう。両選手とも知名度は高いから、日本での商品価値はまだある。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)