アルジェリアが救出作戦を強行した理由 守るべきは人命より「ガスプラント」?

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   北アフリカのアルジェリアの天然ガス関連施設で発生した日本人を含む人質拘束事件は、同国政府が軍による救出作戦を強行し、イスラム武装勢力を制圧した。

   人質救出作戦は2013年1月17日、アルジェリア軍がヘリコプターや地上部隊を投入して施設を攻撃。ただ、米・英への通告もなく単独での、しかも「わずか1日半」での判断に「人命軽視」との批判もある。戦闘で多くの死傷者が発生しているとの情報もあり、日本政府は人質の安否確認を急いでいる。

「国益」のための判断

日揮は早くからアルジェリアに進出していた(写真は、日揮のホームページ「ガス処理プラント」)
日揮は早くからアルジェリアに進出していた(写真は、日揮のホームページ「ガス処理プラント」)

   アルジェリアは事件の発生当初から、「テロリストとの交渉には応じない」との強硬姿勢を鮮明にし、それを貫いた。外交ジャーナリストの手嶋龍一氏は、TBSの情報番組「ひるおび」で、「テロリストと交渉しないことは国際的な約束事。これで交渉に応じれば、いろいろなところで人質事件が発生する」と、同国政府の判断を当然とみている。

   とはいえ、人質が拘束されているのに「わずか1日半」の判断とは、あまりに性急ではないか――。そう思う人は少なくないだろう。

   イスラムの社会情勢に詳しい水口章氏は同番組で、アルジェリアの国内事情を優先した結果、と指摘した。「アルジェリアにとって、天然ガス関連施設が攻撃されると経済への打撃が大きい。『国益がかかっている場所』といえ、国家の指導者として、自国の経済、国益を最優先に考えた判断でしょう」と、自国民を守るための判断とみている。

   アルジェリアは、石油や天然ガスが豊富な資源国だ。日本貿易振興機構(JETROによると、原油の生産量は世界第15位(シェア2.3%)、天然ガスは第8位(同2.7%)で、輸出総額のじつに98.3%、財政収入の65.7%(いずれも、2009年)を占めている。

   石油や天然ガス関連施設はもちろん、道路や住宅などのインフラ需要が伸びており、日本をはじめ、多くの外国資本の参入が急ピッチで進んでいる。同国の経済はこうした外資を積極的に導入しながら、天然資源とそれを開発するための公共事業で支えられている。

   ただ、現地のプラントはアルジェリアの中でも治安の悪い、「危険地帯」とされる砂漠の真ん中にあることが少なくなく、日ごろから政府軍や警察がプラントを守っているほどだ。

政府に頼らず情報収集「自分の身は自分で守る」

   JETROによると、アルジェリアに進出する日本企業は伊藤忠商事や三菱重工業、NECなど、2011年6月時点で14社(共同事業体を含む)。在留邦人数は954人にのぼる。今回、人質拘束事件に巻き込まれた日揮もその一つだ。

   プラント大手の日揮の進出は早く、1990年代に掃討作戦を進める政府軍とイスラム過激派が内戦状態に陥ったときを耐え、事業を進めてきた経緯がある。

   そこで培われたのは同国との協力関係のみならず、いわゆる「危険地域」におけるセキュリティー対策の高さのようだ。危険情報を盛り込んだ「マニュアル」を用意し、安全対策を徹底。セキュリティー対策を担当する本社セクションでの情報収集と管理で、セキュリティー情報を出張者や駐在員に随時伝える態勢を整えてきた。

   前出の水口章氏は、「セキュリティーへの意識の高い、日揮ほどの企業でさえ、こうした事件に巻き込まれるリスクがある。大事なのはダメージ・コントロール。日揮は政府に頼らずとも自分たちの手で情報をうまく収集して、しっかりとした対応ができていた。企業は自分たちの身は自分たちで守ることを考えたほうがよい」と話した。

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