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ヤマハSR400が35周年 基本設計そのままに改良重ね、記念モデルを発売

   ヤマハ発動機のロングセラーバイク「ヤマハSR400」が発売35周年を迎え、バレンタインデーの2013年2月14日から35周年記念モデルが限定発売されることになった。SR400は1978年にデビュー。発売30周年の2008年には当時の排ガス規制強化に対応できず、一時生産中止となったが、復活を望む熱心なファンの声に支えられ、ヤマハが排ガス規制をクリアした現行モデルを2009年に発売した。

   自動車に比べるとバイクは長寿モデルが多いが、スタイリングなど基本設計はデビュー当時のまま、マイナーチェンジで改良を重ね、35年もファンに愛されるバイクは前例がない。

エンジンの鼓動をダイレクトに感じられる

「ヤマハSR400」
「ヤマハSR400」

   35周年記念モデルは専用ボディーカラーとブラウン系ツートンシート、記念ロゴ入りのメーターなどが特徴。8月末までの受注で、国内で1000台を販売する計画だ。メーカー希望小売価格は53万5500円で、ヤマハは「謝恩価格」と説明している。

   ヤマハSR400は、空冷4ストロークSOHC2バルブの単気筒エンジンを搭載した「シングル」モデルだ。中型バイクはマルチ(多気筒)が全盛で、DOHC4バルブが常識となった現代でも、ヤマハはSR400に「オートバイの原器そのものとも言える、きわめてシンプルなエンジン」を搭載してきた。

   単気筒(シングル)エンジンは吸気と排気の脈動が明確で、アクセルの開閉とともにエンジンの鼓動をライダーがダイレクトに感じることができる。1978年のデビュー当時と変わらないシンプルでクラシカルなスタイリングとともに、SRはビッグパワーよりも、バイク本来のテイストを味わうモデルとしてファンの心をつかんできた。1980年代に2ストロークのレーサーレプリカモデルが若者に全盛だった時代でも、SRは孤高のバイクとして、カタログから消えることはなかった。

「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」を受賞

   もちろん、SR400のスタイリングや基本設計は35年間変わらずとも、エンジンなどには今日的な改良が施されてきた。ヤマハは「SRが全く変わらなかったかと言えば、そんなことはない。より楽しめる走り、さらなる快適性を求め、来る年ごとに細かなリファインを続けてきた」と語っている。

   発売35周年を祝福するかのように、SR400は2012年度の「グッドデザイン賞」(公益財団法人日本デザイン振興会主催)の特別賞である「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」という名誉ある賞を受賞した。同賞は「グッドデザイン賞を10年以上前に受賞した商品、あるいは発売以来10年以上継続してユーザーに支持された商品」に贈られる賞だという。

   シングルエンジンのクラシカルなバイクは、これまでもライバルメーカーから400cc、250ccを中心に誕生しては姿を消していった。現在もSR400のライバルと目されるシングルバイクは何台か存在する。SRに次ぐ歴史を誇るのはカワサキの「エストレヤ」(250)で、1992年のデビューだが、現行モデルは2007年の発売となる。スズキの「ST250」は03年の発売で、今年10周年。ホンダの「CB223S」は2008年に発売され今年で5周年を迎える。

   いずれもハイパワーを指向することなく、シングルエンジンのテイストを引き出しているのが特徴だ。ライバルたちもSRを追う息の長いモデルとなりそうだが、ロングセラーの歴史は塗り替えられそうにない。