2024年 4月 18日 (木)

ネオン欠け、消防法違反指摘の張り紙 「銀座の不動産王」持ちビルの「惨状」

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   2009年から11年までの3年間に28億8000万円余りの所得を隠し、法人税約8億6000万円を脱税した疑いで、東京地検特捜部は13年3月5日、「丸源ビル」オーナーの川本源司郎容疑者(81)を逮捕した。

   「銀座の不動産王」「日本の億万長者」―こんな言葉で持ち上げられ、一時は資産1300億円を持っていたという大富豪だ。ただ、持ちビルを回ってみると、ビルの上にある「丸源」のネオンの一部が消え、消防法違反を指摘する紙が貼られるなど、ビル管理のずさんさも目立つ。

「3億円入り紙袋持ち街歩く」「札束落ちても拾わない」

丸源ビルが建ち並ぶ並木通り(13年3月6日撮影)
丸源ビルが建ち並ぶ並木通り(13年3月6日撮影)

   13年3月6日朝放送の情報番組は、揃って川本容疑者について取り上げた。

   1932年、福岡・北九州市の呉服店に生まれた。慶應義塾大学の2年に進級する直前に実家に呼び戻され家業を継ぎ、その後店を呉服からファッション衣料まで扱う総合店舗に仕立て上げた。さらに市内に持っていた木造賃貸物件を8階建てビルに改築、これが現在の貸しビル業への第一歩となった。

   27歳で本格的に貸しビル業に進出し、九州で事業を拡大。72年、40歳の時に東京・六本木に進出し、ピーク時は銀座など繁華街に70棟以上のビルを所有したという。

   「とくダネ!」(フジテレビ系)は、84年の番組「おはよう!ナイスデイ」が、川本容疑者に密着した企画の一部を放送した。渋谷区にある川本容疑者の豪邸を訪れ、大量の彫刻や毛皮のじゅうたんなどが飾られた室内が披露されていた。この邸宅には着替えで帰るのみで、ほぼホテル暮らしだったという。「資産は誰に譲るのか」と聞かれると、「誰にあげるというものでもないから、財団法人でもこしらえて、何かの役には立つようにしていく」と語っていた。

   「とくダネ!」はさらに「仲の良い友人の話」として、「川本容疑者が紙袋をぶら下げながら街中を歩いていた。中には3億円が入っていて、重さで袋が破れて札束が道に落ちた。川本容疑者は知らないふりをして歩き続け、友人が止めたところ、『お金を拾う姿はみっともない。私はお金に執着していない』と話した」という仰天エピソードを紹介していた。

「火災が発生したならば人命に危険」

第25ビルに貼られていた「消防法による命令の公告」(13年3月6日撮影)
第25ビルに貼られていた「消防法による命令の公告」(13年3月6日撮影)

   現在は所有するビルも入居するテナントも減ってしまっているが、豪勢な暮らしぶりは健在のようだ。ホテル暮らしや高級リムジンでの送迎は今もそのままで、ハワイの高級住宅街に資産を持ち、ハワイでは大富豪として日本人で一番有名という話もある。

   「商売の天才」「孤独」…報道を見ていると、こんな人物像が浮かぶ。容疑者の丸源ビルが、現在どのような状況になっているのか、銀座の街並を歩いてみた。

   銀座では、外堀通りに面した第14ビルと第15ビル、並木通りのMARUGEN25、第31ビル、No.53をはじめ、No.21、第24ビルの計7棟が確認できた。

   第31ビルの1階には宝飾ブランドのフォリフォリや呉服店、第15ビル、第24ビルは画廊、No.53は高級時計店が入居していた。最も目に付いたのは、第15ビル1階にあった、川本容疑者のコレクションと思われる彫刻が大量に展示された無人のスペースだ。内部はシャンデリアや花で飾られ、豪華絢爛な川本容疑者の暮らしぶりを思わせるようだ。

   しかしどのビルも少し階段を上ってみると「薄暗い雑居ビル」という印象で、外壁はさび付いており、容疑者のイメージとは程遠い。17時を過ぎると看板のネオンが点灯されたが、蛍光灯が切れたまま放置されたビルもあり、大事な「源」の文字が欠けているのが物悲しかった。

   気になったのは、ほとんどのビルで、「消防法による命令の公告」がビル入り口付近の壁に貼られていたことだ。川本容疑者あての文書で、防火設備の不手際や防火管理者が定められていないなどの問題が指摘され、「火災が発生したならば人命に危険」とも書かれていた。いまだに対策は講じられていないようだ。

   「銀座の不動産王」は、ビルの管理もままならないほど困っていたのか。

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