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サポーターから投石、窃盗、痴漢… ヨルダン戦で被害のツイート相次ぐ

   ヨルダン人サポーターに囲まれて、石を投げられたり、ケータイを奪われたり――。サッカーW杯アジア最終予選を現地観戦した日本人サポーターが、帰り道にこんな被害を受けたとツイッターでつぶやき、波紋を呼んでいる。

   2013年3月26日のヨルダン戦は、相手側のマナーの悪さが物議を醸した。日本代表選手らにスタンドからレーザー光線を照射されたり、首を切るポーズをヨルダン選手がしたりしたからだ。

「この国旗にキスしろ!」異様な雰囲気に

   そして、選手ばかりでなく、観戦した日本人サポーターの一部も、酷い目に遭っていたというのだ。

   翌27日につぶやかれた複数のツイートによると、試合終了後に日本人サポーターらがタクシー乗り場まで向かおうとすると、ヨルダン人サポーターとみられる人たちが奇声を上げながら次々に集まってきた。その数は100人以上にも膨れ上がったといい、いきなり手のひら半分ぐらいもある石を投げてきた。

   さらに、持っていた携帯電話を取られたりカバンを盗まれたりしたほか、半袖を着ていた女性はお尻をつかまれたり体を触られたりしたという。すぐに、ヨルダン警察が来て、群衆は散り散りになり、日本人サポーターらは保護された。とはいえ、「どうだ凄いだろ。この国旗にキスしろ!」などと言われた人もいたといい、異様な雰囲気にかなり怖い思いをしたらしい。

   もっとも、警察や運転手などヨルダン人は親切だったとのツイートも多く、スタジアム外での行為はあくまでも例外ということだった。

   日本サッカー協会の広報部では、日本人サポーターらの被害について、情報が一切入ってきていないとした。

「帰る途中に街中で起こったことは、報告が上がってきませんので、分かりかねます。観客席は、職員を常駐させて、もめごとなどをチェックしており、また、私どものサポーターツアーについては、現地セキュリティと協力してバスまで誘導していますので、どちらも情報が入ってきます。しかし、トラブルの報告は、今のところ上がってきていません」

外務省「あまり肌を見せるのはよくない」

   ツイッターなどの情報については、サッカー協会広報部では、「内容を聞いていませんので、何ともコメントできないです」と言うのみだった。

   外務省の海外邦人安全課でも、サポーター被害について、「今のところ、こちらには情報が入ってきてないです。大ケガなどであれば当然入ってきますが、そうでなければ、現地の大使館に話が行っているかもしれません」と言う。

   ただ、一連の経緯は、現地観戦した経営コンサルタント男性が、ニュースサイト「サッカーキング」で2013年3月28日にレポート記事をまとめており、事実だった可能性が高いようだ。

   ヨルダンは、外務省の海外渡航情報では、危険のレベルが一番低く、「十分注意してください」という表現に留まっている。イスラム圏なので窃盗犯罪にも厳しいが、海外邦人安全課では、こうも言う。

「湾岸地域のイランやサウジアラビアほど厳しくはなく、処罰が緩いのも確かです。貧富の差から物乞いが多いですので、窃盗もありえると思います」

   また、イスラム圏の特徴として、女性への嫌がらせも多いとした。

「ヨルダンでは、顔を隠すまでではありませんが、あまり肌を見せるのはよくないと思います。女性がミニスカートなどを履いていたら、それこそ誘っているものとみなされますよ」

   実際、ヨルダンの危険情報を見ると、タクシー運転手から女性が嫌がらせを受けたり、路地裏などでひったくられたりする被害が多発していることが分かる。こうした国を訪れる場合は、日本人サポーターも十分に用心することが必要のようだ。

   なお、14年にW杯会場になるブラジルは、危険情報はヨルダンと同じレベルだが、実際ははるかに犯罪に巻き込まれる恐れが強いという。海外邦人安全課では、「一般人による犯罪も多く、銃を突きつけて金品を要求するケースが多発しています。場合によっては、南アフリカより犯罪が多いかもしれませんので、かなり注意しないといけないでしょう」と言っている。