高橋洋一の自民党ウォッチ
「債券市場が混乱」報道に惑わされるな 「歴史的低水準」長期金利の反転、不思議ではない

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   4月4日(2013年)の日銀黒田総裁の金融緩和決定以降、債券市場が動揺しているといった論調が見られる。5日には、長期国債の利回りは0.3%台にまで低下。その後、金利は上昇し、金利は0.6%台に急騰した。債券先物では、価格変動の制限幅を超えた場合にいったん取引を止めるサーキット・ブレーカーが発動した。

   こうした状況から、債券市場関係者は「市場が壊れた」「市場が大混乱」という人もいる。 ただし、そうした報道を鵜呑みにするのは危険だ。そこで、債券市場関係者とはどういう人たちなのか。ひとことでいえば、債券価格が上昇する(利回りが下がる)ことこそ、歓迎するべきと考えているひとたちだ。

本来名目金利は名目成長率とほとんど同じ

   本来名目金利は名目成長率とほとんど同じだから、債券価格の上昇は経済活動が停滞していることを示しているにもかかわらず、彼らには喜ばしいことになる。その理由は、とても小さな世界の話だ。

   金融機関の債券部門は、債券価格が上がるほど、つまり利回りが下がるほど利益が出る。結果として、社内での存在感が高くなる。「俺たちが不景気の中でこの会社を支えている」という気持ちになる。だから経済活動が停滞することを望む、という思考にはまりこんでいるのだ。まさに自分たちの半径1メートルくらいしか見えていない例の典型である。

   銀行で言えば、好景気になって債券部門の売買益が減少しても、やがて(タイムラグはあるが)貸出が伸びてくるので問題にならない。言い方を変えれば、今まで債券部門が儲けていた代わりに、貸出部門はお茶を挽いていたのである。

   金融機関全体で見れば、どちらが儲かっていても構わない。ならば、マクロ経済としては好景気の方がいいに決まっている。それは国民の幸福に直結しているからだ。銀行が運用先に困って国債を買いまくる状況と、企業が必要とする資金を貸し出す状況と、どちらがよいのか。今さら議論するまでもないことである。

日銀、異例の「降格」人事が意味すること

   しかし、半径1メートルしか見えていない債券部門出身のエコノミストには、「これから銀行は大きな損失を余儀なくされる」などと語る。彼らはマクロ経済政策に直接タッチしているわけではないが、マスコミを通じてそうした説が掲載されてしまう。しかしこれは、銀行内部のセクショナリズムを語っていることとほとんど同じであり、マクロ的には取るに足らないことだ。ほとんどの人にとってどうでもいい話なのだ。

   要するに、債券市場関係者が市場が壊れたと「泣き」をいれても、日本経済はおろか、その金融機関にさえ大きな影響はないのだ。

   今の長期金利は歴史的に見ても低水準である。いつ相場が反転しても不思議でない状態なので、安定しているほうがおかしい。それに加えて、日銀出身のエコノミストを含め日銀の金融政策転換を読めなかった人たちが泣き、日銀の現場職員も金融政策の方向転換に対応できずにあわをくって、関係者みんなが騒いでいる。相場の転換期に加えて、日銀が新体制に不慣れという要因も混乱に輪をかけたのだ。

   そんな中で、4月17日、日銀人事が発表された。黒田体制の初めての人事だ。その中で、金融市場局長が決済機構局長になる人事はもっと注目されていい。長谷川幸洋・東京新聞論説副主幹以外のマスコミは、短信報道以上には報じていない。この人事は異例の降格人事だ。おそらく黒田総裁は日銀で人事を掌握して、これまでの日銀を方向転換することに成功しているのだろう。今回事前情報リークがなかったこともそれを裏付けている。

   こうした重要なことを報道せず、半径1メートルの「泣き」ばかりの報道ばかりみていては、世の中の動きを見誤る。日銀の体制が大きく変わり、これまで日銀からの情報リークを受けて、日銀の行動を先読みしていた日銀出身のエコノミストは、今回の日銀の政策変更をまったく読めなかった。それで債券市場関係者が右往左往しているだけなのだ。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。


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