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全米震撼、女性3人を10年以上監禁し続けた男 家中に鍵をかけて人を立ち入らせなかった

   米国で3人の女性が10年以上にわたって監禁されていた事件は、全米を震撼させた。被害者のひとりが脱出に成功して容疑者逮捕につながったが、犯行の動機をはじめ、多くの謎が残っている。

   周囲や警察に気づかれることはなかったのか。監禁の舞台となった容疑者宅は、家の中のあちこちが施錠され、「立ち入り禁止」の部屋もあったという。

家の中で撮影された写真、ドアには南京錠

   米オハイオ州クリーブランドで2013年5月6日に警察に保護された3人の女性は、2002~04年の間に行方不明となっていた。いずれも、逮捕されたアリエル・カストロ容疑者に誘拐され、容疑者本人が所有する家に長年監禁されていたようだ。カストロ容疑者の留守を見計らって、被害者のひとりアマンダ・ベリーさんが家の玄関を激しく叩いて助けを求め、これを耳にした隣人の男性がドアを破って救出。通報で駆け付けた警察官が残りのふたりと、6歳の女児を発見した。その後カストロ容疑者とその兄弟の計3人が逮捕された。女児はアマンダさんの娘とみられるが、父親が誰なのかは発表されていない。

   欧米メディアは、このショッキングな事件を大きく取り上げた。カストロ容疑者の人物像に迫ろうと、近所に住む人や親族に取材を試みている。今回、アマンダさんを助け出した男性は容疑者と交流があり、バーベキューパーティーをして楽しんだと証言。バンド仲間だったという男性は米CNNに、「信じられない。腕の優れたミュージシャンだったのに」と答えた。この人物は2年ほど前、容疑者の家を訪れている。荷物の搬入を手伝うよう頼まれたためで、滞在時間は短かった。「居間のあちこちに楽器を見かけた程度で、特に変わった様子はなかった」という。監禁されていたはずの女性たちにも気づかなかった。

   一方、容疑者の息子が英デイリーメール紙に興味深い情報を明かしている。同紙電子版「メールオンライン」5月7日の記事によると、カストロ容疑者は家庭内暴力が原因で1996年に当時の妻と離婚。以後、息子とも疎遠となって現在は別居しており、たまに家を訪ねても「20分以上はとどまらなかった」という。最後に訪問したのは2週間前で、その時は家に上がらせてもらえなかった。

   メールオンラインには、容疑者が息子や、当時の交際相手と写った写真が公開されている。2001年撮影となっており、背後に見える白い扉には南京錠がかけられているようだ。息子は、「家はいつもかぎがかかっていて、中に入れない場所があった。地下室や屋根裏、車庫は施錠されていたのです」と打ち明けた。

過去には18年間監禁された女性も

   過去10年間で、カストロ容疑者宅の異変に気付いた近隣住民がいなかったわけではない。2年前、容疑者の家の庭に裸の女性がはうような格好をしているのを見かけた人が警察に連絡したが、取り合ってもらえなかったという。同じ年、この家から叫び声が聞こえたと通報を受けて警察が訪問したものの、応答がなかったため引き揚げてしまった。実はこの近辺では2009年、一軒家の庭から11人の遺体が発見されて男性が逮捕、起訴される事件が起きている。遺族は「警察の捜査に問題があった」として訴訟を提起した。今回も警察が適切に動いていれば3人を早期に救出できたのではないかと、批判の声が出ている。

   CNNによると、カストロ容疑者が近くの公園で女の子と遊ぶ姿がたびたび目撃されていた。近所の人がたずねると「交際相手の娘」と答えたという。この子が、監禁された女性3人が救出された時に見つかった6歳女児かは今のところ分かっていない。また地元クリーブランドのテレビ局は「警察関係者からの情報」として、被害者女性たちの間で監禁中に複数回の妊娠があったと報じた。そのうちひとりは栄養失調が影響して2、3度の流産を余儀なくされたという。事実だとすれば大変痛ましい。

   米国では過去にも同様の事例が数件ある。1991年、カリフォルニア州で当時11歳の女児が誘拐、監禁された。発見されたのは2009年で、解決までに18年もの長い年月を要した。この女性は今回の件についてメディアに声明を寄せ、「3人の女性たちはいやしと、世の中と再びかかわる機会が必要」と指摘している。