民主党は2013年6月25日、7月の参院選に向けたマニフェスト(公約集)を発表した。マンガを入れるなどして従来よりも分かりやすさを重視。個別政策で対立軸を設定するのではなく、ターゲットや方向性の違いで「アベノミクス」に対抗する。ただし、具体的な数値目標はほとんど盛り込まれず、「やはり立場は立場」と、野党としての立場を打ち出した公約となった。
マニフェストでは、「震災復興福島再生」「くらし」「いのち」「みらい」「憲法」「外交防衛」「改革」の7つの重点政策分野を掲げ、特に「くらし」「いのち」「みらい」のキーワードを強調している。この3つの分野では、中小企業向けの政策や社会保障を充実させることをうたっている。従来の「コンクリートから人へ」というキャッチフレーズは「人への投資」と言い換え、教育や保育に力を入れる。
海江田万里代表は、
「いよいよ物価が上昇しており、これからますますその傾向が強くなってくる。年金生活者、働く人たちに影響する。賃金も上がらない。中小零細企業の経営者にとってはコストがアップするが価格に転嫁できず、アベノミクスの副作用に苦しんでいる」
と改めてアベノミクスを批判。自民党と差別化するポイントについては
「安倍政権は企業、国家を強調するが、私達はその主体である国民が豊かにならなければ意味はないので、国民の生活・暮らしを守ることを主に訴えている」
と述べた。
なお、
「アベノミクスというのは造語なので、なるべく活字に残るものは、できるだけ正しい日本語を使いたいという想いが常にある」
という理由で、マニフェストには「アベノミクス」という言葉は登場しない。
また、個別の政策では対立軸を設定しない。桜井充政調会長によると、
「この間の(12年12月の)選挙のときに、『民主党は個別の政策を挙げて、全体像としてどうしていくのか見えない』と言われた」
「政策的な内容が同じであっても、誰がターゲットかによって全然違うと思っている」
と、あくまで方向性の違いで差を出したい考えだ。
今回もマニフェストは、「野党色」が強まったことも特徴だ。
「今回の参院選が終わって政権が担えるかというと、それはあり得ないこと」
という理由で、ほとんど数値目標は盛り込まれなかった。マニフェストに対応する日本語も、これまでの「政権政策」「政権公約」といった言葉から「重点政策」に変更。桜井氏は、
「政権を担わせていだいた上で信頼を失う原因になったひとつが、こうやって数字を挙げてきたことだと思っている。そういうことを踏まえて現実的な内容にさせていただいた。やはり立場は立場だと思う」
と釈明。従来のマニフェストと比較してあまり変化がないという指摘には、
「いくら訴えても、届かなければ終わり。それが届くという点では、かなり工夫している」
「なんで同じ内容ということになるんでしょうか?私は逆に言うと理解できない」
と色をなして反論する一幕もあった。