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本田圭佑はそんなに評価が高いのか ACミラン「ジャパンマネー目当て」が本音?

   サッカー日本代表MF、本田圭佑選手の移籍報道が騒がしくなってきた。イタリア1部リーグ(セリエA)・ACミランが獲得に乗り出し、実現まで秒読み段階に入ったと言わんばかりだ。

   これまで何度もうわさされては消えたビッグクラブへの移籍話。日本代表での活躍は誰もが認めるところだが、所属するロシア1部リーグ・CSKAモスクワでの成績は必ずしも突出した内容ではない。それでも欧州の有名クラブが欲しがる理由は何か。

希望しないポジション強いられ本領発揮できず

「ミラン移籍」を大きく報じたサンケイスポーツ
「ミラン移籍」を大きく報じたサンケイスポーツ

   スポーツ新聞各紙はここ数日、本田選手がセリエAの名門ACミランへの移籍の可能性を伝えている。2013年7月5日付のサンケイスポーツはイタリアの報道を受ける形で「年俸などの条件で合意」、さらにCSKAとの契約満了待たずに「ミラン・本田」が夏にも誕生と報じた。スポーツニッポンは、4年で年俸250万ユーロ(約3億2500万円)と踏み込んでいる。

   過去にも幾多の有名チームが、本田選手の「移籍先候補」として浮上した。2012年1月にはセリエA・ラツィオが獲得寸前までこぎつけながら、最終段階で移籍金交渉が折り合わず破談となった。CSKAは契約期間中の本田選手に高額な移籍金を設定し、これが他チームへ移る足かせとなってきたのだ。ラツィオとの交渉では、その額は日本円で16億円とも言われた。2013年12月31日をもってCSKAとの契約は満了し、本田選手は晴れて「自由の身」となる。CSKAが「少しでも移籍金が取れるうちに」と放出を早めても不思議ではない。

   日本代表では中心となる本田選手だが、ロシアリーグでの実績はどうか。「フットボールレフェリージャーナル」を運営するサッカージャーナリストの石井紘人氏に聞くと、「大活躍、とまでは言えません」と指摘する。理由のひとつがポジショニング。本人はトップ下など前線でのプレーを希望しているが、チームの方針で守備的な位置を任されることが多く「なかなか本領を発揮できません」。複数のポジションをこなせる器用さが、かえって災いしたとも言える。2011年以降は右ひざをはじめ故障にたびたび見舞われ、不本意と言わざるを得ないシーズンもあった。

   今ひとつ実力を出し切れなかったロシアでの日々。それでもビッグクラブに「モテモテ」なのは、高額の移籍金という障害が消えたのが大きいようだ。

移籍金払うほどではないが、相応の金額なら欲しい

   本田選手の力量を石井氏は、「日本人の器用さと敏しょう性に欧州の強さを備える。ただし、クリスティアーノ・ロナウド選手(レアルマドリード)やリオネル・メッシ選手(バルセロナ)のようにスピードはない」と評する。法外な移籍金を支払うほどではないが、相応の金額で獲得できるならばぜひ欲しい、というレベルと見る。仮に年俸3億超としても、日本代表の同僚でマンチェスター・ユナイテッド所属の香川真司選手の推定年俸よりは低い。要するに「お買い得」なのだろう。

   6月にブラジルで行われたコンフェデレーションズカップでのプレー内容も、獲得を目指すチームを納得させたのではないかと石井氏。サッカー解説者のセルジオ越後氏は日刊スポーツの連載コラムで、本田選手を「最悪な調子のイタリア相手にだけまともなプレーができて、ブラジルやメキシコに真剣にプレスをかけられたらお手上げ。あんな状態で90分間使ってもらえる方がおかしいよ」と厳しく批判した。だが石井氏は、度重なるケガを乗り越えたうえ、ワールドカップアジア最終予選から間もないコンフェデ杯だったにもかかわらず、3試合に出場して一定のパフォーマンスを見せたと評価した。これでミランは、ある程度の年俸を支払う価値を見出したのだろうか。

   石井氏は、本田選手がミランにもたらす「付加価値」も挙げた。つまり、入団により「ジャパンマネー」が期待できるというのだ。ユニホームをはじめとする球団グッズの売り上げや日本人ファンの観戦者増が望めるうえ、アジア市場への進出も視野に入ってくると指摘する。日本企業のスポンサーを獲得できるかもしれない。ミランの名誉会長として君臨するのは、イタリアのベルルスコーニ元首相。何かしら「そろばん勘定」をしていても不思議のない人物だ。

   とは言え、実力がなければいくら有力チームに移っても試合で起用してもらえない。その点、石井氏は「ミランでも十分通用する」という。選手としての素養だけでなく、コミュニケーション能力の高さを評価した。強豪チームともなれば個性豊かなタレントがそろうが、「本田選手は自分の主張をはっきり伝えられる性格。自信をもってプレーし、周りを上手に生かしながら自分自身も実力を発揮できるでしょう」。