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サッカー日韓戦、なぜ「半沢直樹」に視聴率で負けたのか フジTV「お笑い芸人作戦」が失敗だった!

   サッカー、野球といったスポーツの日韓戦といえば高視聴率が取れテレビ局にとってドル箱のはずなのだが、2013年7月28日に放送したサッカー東アジア杯は日本の初優勝がかかっていたにも拘らず、裏番組のTBSドラマ「半沢直樹」に視聴率で5ポイントの大差をつけられ「敗退」してしまった。

   「半沢直樹」は現在放送中のドラマの中で最も勢いがあり人気が高い強力番組だが、サッカー日韓戦を上回る視聴率が取れたのには他にも原因があると専門家が分析している。

「やられたらやり返す。倍返しだ!」が流行語に

   「半沢直樹」は13年7月7日から放送が始まり、バブル期に「東京中央銀行」に入行した半沢直樹を堺雅人さん(39)が演じている。半沢は相手が上司だろうと正しいことは正しいを貫く融資課長で、ある日、支店長が犯した失敗の責任を擦り付けられ融資金5億円の回収が困難な事態に追い込まれてしまう。そこから半沢の逆襲が始まるが、「やられたらやり返す。倍返しだ!」「クソ上司め覚えてやがれ!」などのセリフが有名になっている。

   視聴率は1話目がビデオリサーチ調べで関東地区は19.9%、2話目が同21.8%だった。13年7月28日放送の3話目は裏番組が日本の初優勝がかかったサッカー東アジア杯の日韓戦だったため落とすのではないかと思われていたが結果は同22.9%で、今年放送されたドラマでは最高を記録した。サッカーの視聴率は同17.8%だから5ポイントも上回ったのだ。

   今までならサッカーの日韓戦はダントツの高視聴率をマークしてきた。例えばテレビ朝日が11年1月25日に放送したサッカーアジア杯の韓国戦は同35.1%、11年8月10日にTBSの「キリン・チャレンジカップ2011 日本×韓国」同22.2%で瞬間最高視聴率は32.1%だった。

   これだけ人気だったサッカー日韓戦が「半沢直樹」に敗れた理由は何なのだろうか。もちろん今度の日本代表が国内組で構成され、盛り上がりに欠けたという一面もあるが、芸能評論家の肥留間正明さんによれば、「半沢直樹」の人気の高さだけでは片付けられない問題があるのだという。それは放送したフジテレビの姿勢だ。まず、サッカーの試合前にコメンテーターとして映し出されたのは人気お笑いコンビ「ピース」の綾部祐二さんと又吉直樹さんだった。熱心なサッカーファンほどこれを見て見る気がうせてチャンネルを変えたのではないか、と推測している。

視聴者は本物が見たいしわくわくしながら楽しみたい

「大事な試合だからこそサッカーに精通した評論家や記者を用意すべきだったのに、出てきたのはお笑いコンビ。フジとしては女性や子供の視聴が増えると考えたのでしょうが全くの失敗で、いまフジが凋落している原因を全く理解していない。そりゃあサッカーファンは呆れて逃げていきますよ」

   視聴者やサッカーファンをなめているからこうしたコメンテーターを用意する。さらに試合が始まると煽って盛り上げることに一生懸命で、試合内容を適切に説明、表現する姿勢が不十分で、フジの放送には見切りを付けたという視聴者が出ていた、と分析している。

   視聴者は本物が見たいし、そしてわくわくしながら楽しみたい。それを実現しているのが「半沢直樹」なのだという。俳優として油の乗っている堺さんを主役に起用しそして当たり役として定着しつつあるし、脇を固めているのが香川照之さん、北大路欣也さんといった名優。何といっても台本がしっかりしている。これはフジテレビのやり方と真逆で、

「フジはサッカーに芸人を出して視聴者に媚を売っているが、半沢は大人の鑑賞に耐えうる『本物』を目指している。実は、大人の鑑賞に堪えうるものは子供も、ドラマにあまり興味のない人たちも引き込んでしまうのです。それが今回の視聴率の差でしょう」

と肥留間さんは分析している。