2024年 4月 17日 (水)

日産が三菱自動車に資本参加説 大株主の三菱グループが前向き?

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   たび重なるリコール問題や戦略車の販売失速で体力の消耗が続く三菱自動車が、国内大手自動車メーカーから資本参加を受けて生き残りを目指すとの見方が出てきた。

   2000年のリコール隠し問題に端を発した経営危機以降、三菱自を支援してきたグループ御三家の三菱重工業、三菱商事、三菱東京UFJ銀行の3社が保有する優先株の一部の強制転換期限が2014年6月に迫っていることを受けて、グループ首脳の一人が複数のメディアに「(大手メー カーとの資本提携について) 可能性を探っている」と発言。その相手先について、業界内ではカルロス・ゴーンCEO(最高経営責任者)が率いる日産自動車が最有力との見方が強まっている。

資金繰りを支えたのが御三家を中心とする三菱グループ

   三菱自は今年6月末(2013年)の株主総会で、資本金と資本準備金の取り崩しで累積損失9200億円を一掃することを決めた。最大の狙いは2014年3月期に16年ぶりの配当を復活させることだ。

   同社は一連のリコール隠しとその後の独ダイムラー・クライスラー (当時)の提携打ち切りで経営破綻の瀬戸際に追い込まれた。その際に計約6000億円の優先株を引き受けて資金繰りを支えたのが御三家を中心とする三菱グループだ。

   優先株は株主総会での議決権がない代わりに、普通株に優先して配当が得られるのが特徴。引き受ける側には、ただの経営支援ではなく、配当を目的にした投資と説明できることがポイントで、国による大手銀への公的資金注入にも活用された。しかし、三菱自は過去のリコール費用や販売不振で多額の累損を抱えており、これまで優先株への配当は一度も行われていない。御三家以外のグループではすでに優先株を普通株に転換して売却した企業も多い。

13年度内に優先株処理の方針決定

   問題は、御三家が保有する優先株の一部について、14年6月1日に強制転換期限が到来することだ。それを過ぎると御三家は自分で普通株に転換して売却する権利を失うことになる。「2013年度内に優先株処理の方針を決めないと、来年の株主総会で説明がつかない」(三菱商事幹部)事態に陥るわけだ。

   4000億円近い優先株の処理については三菱自が買い入れて償却するのが順当だが、現在の経営体力からして全額買い入 れは困難。このため、買い入れ償却は一部にとどめるとの見方が一般的だ。

   大手自動車メーカーの資本参加が有力になっているのは、御三家が残余の優先株を普通株に転換した場合、3社合計の持ち株比率が50%を超え、三菱自の経営を全面的に丸抱えせざるを得なくなるからだ。

「単独で再建の道筋を描くのは絶望的」

   御三家が三菱自の子会社化をためらうのは、経営の先行きが一向に晴れないためだ。三菱商事出身の益子修社長が起死回生の切り札として投入した電気自動車(EV)「アイミーブ」は、充電設備整備の遅れなどもあって販売が失速。期待をかけ今春発売した看板SUV(多目的スポーツ車)「アウトランダー・プラグインハイブリッド(PHEV)」も基幹部品のリチウムイオン電池に不具合が見つかった。「リコールが三菱自の代名詞」とまで言われる中、 グループ内では「単独で再建の道筋を描くのは絶望的」(三菱東京UFJ銀中堅幹部)との見方が支配的になっている。

   御三家からの「求愛」を受ける日産は、ゴーンCEOが経営を束ねる仏ルノーなどとの相互補完を強め、提携先も含めたグループ力でトヨタ 自動車、米ゼネラル・モーターズ(GM)、独フォルクス・ワーゲン(VW)などに対抗することに意欲を燃やす。グループ で世界販売1000万台体制を実現するには、「軽自動車やSUVなどで相乗効果が見込める三菱自との提携強化は 渡りに船」(大手自動車メーカー首脳)とされる。

   国内勢で久方ぶりの大型再編が成功するかどうかは今後の交渉次第だが、その行方次第ではマツダやスズキなど他の自動車メーカーの動向にも大きな影響を与えることになりそうだ。

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