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「竜巻」きたらどこに逃げる? 窓のない部屋、風呂場やトイレに閉じこもる

   埼玉県と千葉県の一部で2013年9月2日昼過ぎに発生した竜巻により、60人以上に被害があったと各社が報じている。

   竜巻の移動速度は速く、被害にあった人は兆候を感じてから実際に遭遇するまで「一瞬だった」と振り返る。

   身の安全を確保するには、兆候を感じてからの一瞬の判断が鍵といえそうだ。一体どうすればいいのか。

急に真っ暗になり、ゴーという音が

   まず、「竜巻が身近に迫ったとき」の特徴として、気象庁のホームページでは、以下のような例を挙げている。

飛散物が筒状に舞い上がるのを見た。
ゴーという音がしたのでいつもと違うと感じた。
気圧の変化で耳に異常を感じた。

   この他、今回のケースでは急に真っ暗になり、雷が落ちたりひょうが降ったりしたという証言もある。

   気象庁が「このような場合には、あなたの身に危険が迫っています」と警鐘を鳴らす通り、実際に兆候を感じてから、被害にあうまでの時間はかなり短い。今回の竜巻の移動速度は時速40kmから60kmほどと推計されており、1キロ先に見えたら1分で直撃されるかもしれない。被害者らはワイドショーの取材に答えて、「雲の色がよくなくて雷がすごかったので、窓を閉めにあわてて2階にかけあがったら、(風で)窓が閉められなくなっていた。音を感じる暇もなく、あっというま。一瞬だった」(ミヤネ屋、日テレ系)「雨や風が急に酷くなってから(やってくるまでに)5分もかからなかった」(ひるおび!、TBS系)などと話している。

   危険な気配を感じたら、すぐにその時にいる場に応じて、適切な安全策をとらなければならないというわけだ。

車庫・物置・プレハブや車に留まるのはNG

   気象庁によると、屋内にいる場合の対策としてはまず最下層に移動する。地下室があればそこへ、なければ1階へ。窓、雨戸、シャッターを閉じ、窓ガラスが割れた場合に飛び散らないようカーテンをひく。そして、なるべく窓から離れた建物の中心部で、丈夫な机やテーブルの下に入るなど身を小さくして頭を守る。とくに木造建築の場合は、窓のない風呂場やトイレに逃げ込むことも有効だという。

   屋外にいる場合は、飛来物に注意する必要がある。コンクリート製など頑丈な建物に避難するのが第一だが、そういったものが見当たらない場合は、近くの水路やくぼみに身を伏せ、両腕と頭と首を守る。

   気をつけなければいけないのは、逃げ込むといっても車庫・物置・プレハブを避難場所にしないことだ。橋や陸橋、電柱・太い樹木などの下も避ける。アメリカの竜巻など大災害対策を担当する政府機関・連邦緊急事態管理庁(FEMA)によると、それよりは低地の開けた場所を探したほうが安全だという。また、FEMAは決して車で逃げようとせず、すぐに降りて安全な場所へ避難することも勧めている。

同じ積乱雲が原因の雷注意報に注目

   ただ、こんなにギリギリではなく竜巻が来ることを事前に知ることは出来ないのかという疑問も残る。気象庁は2日5時の段階で「関東甲信地方では、2日夜遅くにかけて落雷や竜巻など激しい突風に注意してください」との予報を出していたが、竜巻注意報自体の発表は、被害が起こるほぼ直前だった。その上、予報のような文章はこの時期ほとんど毎日のように出ており、そのたびに気をつけるのはなかなか難しい状況だ。

   さらに、気象予報士の森朗さんがひるおび!に話したところによると、今回のケースでは竜巻の原因となる積乱雲が非常に急速に発達したため、「自然現象と(注意報を出す)人の作業との競争」になってしまったという。

   ただ、こうした状況下で少しでも危険を避けるための一つの方法として、森さんは雷注意報に注目するようアドバイスしている。雷も竜巻も積乱雲が主な原因であり、「雷注意報」はいわば積乱雲注意報と行ってもいいくらいだからだという。