「赤ちゃん取り違えの悲劇」なぜ起きた 出産ラッシュで病院の手が行き届かなかった?

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   60年前に生まれた男性の赤ちゃんの取り違えで、東京地方裁判所は病院側に3800万円を賠償するよう命じる判決を言い渡した。

   赤ちゃんの取り違えは、2013年秋にヒットした映画「そして父になる」の題材にもなった。この映画も、実話をもとにした「ねじれた絆 赤ちゃん取り違え事件の十七年」(奥野修司著)を参考にしたものだった。なぜ、こうした悲劇が起こってしまうのか――。

両親に似ていない「自分自身も違和感をもっていた」

赤ちゃんの取り違えは、自宅分娩から病院での分娩が急増したことが背景か?(写真はイメージ)
赤ちゃんの取り違えは、自宅分娩から病院での分娩が急増したことが背景か?(写真はイメージ)

   赤ちゃん取り違え裁判は、東京・江戸川区の60歳の男性と実の兄弟らが起こした。男性は、1953年に生まれた病院で取り違えられ、別の人生を余儀なくされたとして墨田区の賛育会病院に賠償を求めていた。

   東京地裁の宮坂昌利裁判長は2013年11月26日の判決で、DNA鑑定の結果から男性が赤ちゃんだったときに別の赤ちゃんと取り違えられたと認めたうえで、「出生とほぼ同時に生き別れた両親はすでに死亡していて、本当の両親との交流を永遠に絶たれてしまった男性の無念の思いは大きい。本来、経済的に恵まれた環境で育てられるはずだったのに、取り違えで電化製品もない貧しい家庭に育ち、働きながら定時制高校を卒業するなど苦労を重ねた」と指摘し、賛育会病院に3800万円を支払うよう命じた。

   判決によると、男性は同じ病院で自分の13分後に出生した別の赤ちゃんと何らかの理由で取り違えられたという。

   男性は「幼いころから母親や近所の人から『両親に似ていない』といわれ、自分自身も違和感をもっていた」と話していたそうだ。

   赤ちゃんの取り違えはこれまでもあった。46歳のときに取り違えがわかった福岡市の男性と実の両親が出生先の東京都立墨田産院(閉鎖)に損害賠償などを求めた裁判は、2006年の控訴審判決で東京高裁が請求を棄却した1審判決を取り消し、東京都に2000万円の支払いを命じた。

   その判決によると、この男性は1958年4月に生まれた。子どものころから「両親のどちらにも似ていない」と思いながら育ったそうで、1997年に血液検査で母親B型、父親O型、男性A型と判明。実の親子ではあり得ない組み合わせと知ったという。

   東京高裁は「取り違えは産院の基本的過誤で、原告は重大な過失で人生を狂わされた」と断じた。

赤ちゃんの取り違えの多くは、1965年から70年代に起こった

   前出の賛育会病院の産科は伝統のある部門で、現在も毎月約130人の赤ちゃんが生まれている。赤ちゃんの取り違えは、なぜ起こったのか――。

   賛育会病院は、「カルテの管理もいまは5年間ですし、(60年前では)残っているエビデンスも、勤務していた人の証言もなく、手がかりになるようなものがありません」と話す。

   しかし、時代背景から推測できることはある。赤ちゃんの取り違えの多くは、1965年から70年代に起こった。それまでほとんどの出産が自宅分娩だったが、病院などの施設分娩は1955年に17.6%だったが、それが65年には84.0%に、70年には96.1%にまで急増した。

   一方、1971~74年には第2次ベビーブーム(団塊ジュニア世代)もあった。出産ラッシュで病院の手が行き届かなかったのかもしれない。

   もちろん、現在では管理が徹底され、赤ちゃんの取り違えが起こることはほとんどない。

   賛育会病院は、「現在は個室分娩なので、(取り違いは)考えられません」と断言。赤ちゃんは出生後すぐに足の裏にマジックで、母親の名前が記される。足首には「○○ベビー」と母親がわかるようネームバンドが巻かれ、そこには性別や出生日時、体重なども記載される。「どこの病院でも行っているような、採り得る防止策はすべて実施しています」という。

   ネームバンドが手首と足首の2か所に付けたり、母親にも同じものをつけるといった取り違え防止策のほか、最近では頼めばDNA検査もやってくれる。夫の立ち会い分娩が増えていることも、取り違え防止につながっている。先進的な病院では、赤ちゃんの連れ出し防止にセンサー内蔵のネームバンドが巻かれて、出入り口で警報が鳴る仕組みになっているそうだ。

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