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ANA機遅延トラブルが中国でも波紋 「絶対中国人だ」「いや違う」と盛り上がる

   エコノミークラスの外国人乗客が1クラス上のプレミアムエコノミーに居座って全日空(ANA)機の出発が1時間半以上遅れた問題は、中国でも広く報じられている。

   現時点でも問題の乗客の国籍は明らかになっていないのだが、記事のコメント欄では、この乗客が中国人かどうかについて関心を呼んでいる。

環球時報が事実関係を淡々と伝える

成田空港はアジアと北米を結ぶ「ハブ」と位置づけられている(写真は成田空港を出発するANA機)
成田空港はアジアと北米を結ぶ「ハブ」と位置づけられている(写真は成田空港を出発するANA機)

   中国では、環球時報や人民日報が2013年12月2日、日本メディアを引用する形で伝えている。ただし、いずれの記事も乗客が居座った席をプレミアムエコノミーではなく「ビジネスクラス」と誤って伝えている。記事自体は論評抜きで事実関係をまとめただけの簡単なもので、「外国の乗客が客室乗務員の指示を聞かなかった」と、中国人を名指ししている訳ではない。記事は大手ポータルサイトに配信されており、コメント欄の書き込みを見る限りでは、乗客が行った行為よりも「国籍」が関心事になっている。例えば「新浪網」では、

「絶対中国人だ」
「きっと中国人ではない。記事の中に『外国人』でななくて『中国人』と書いてあるはずだ」
「中国人なのか?国内線でやればいいのに」

といった具合で、国際線で迷惑行為を行ったことを非難する声もある。

NY便はアジア各地から便利に乗り継げる

   ただ、現時点でも「外国人」の国籍は不明だ。ANAは乗客が特定されうる情報は開示していない上、国土交通省も、トラブルについては報道で知った程度で、詳細については把握していないという。これは、一度離陸してから出発地に引き返す「イレギュラー運航」といった重要なケース以外は、機内の迷惑行為について航空会社から国交省に報告する法的義務はないからだ。

   ANAに限らず航空各社は、成田空港をアジアと北米を結ぶ「ハブ」と位置づけており、スムーズに乗り継げることをアピールしている。例えば、今回トラブルが起こったNH1010便は成田空港を夕方に出発するが、マニラ、香港、北京、上海、成都、広州を午前中に出発する便に乗れば、2~4時間程度で乗り継ぐことができる。

   米国と中国の間は両国政府の許認可の関係で直行便が開設しにくく、運賃も高止まりしがちだ。そのため、中国人が米国に向かう際は割安な日本や韓国を経由する便を利用することが多い。このことも、今回のトラブルが中国で関心を集めている一因だと言えそうだ。