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無職女性が半年で約1万5000回110番 「知人を逮捕しろ」とウソ通報で逮捕

   不要な110番を半年間に約1万5000回繰り返したとして、大阪府堺警察署は2013年12月4日、大阪府堺市の無職の門前友美容疑者(44)を業務妨害の疑いで逮捕した。

   多い日には1日900回以上も110番していた門前容疑者だが、通報内容はどれもちんぷんかんぷんなものばかりだった。半年にわたり根気強く説得を続けてきた堺署もついに断念、逮捕状を取った。

『どんぶりばち法』に違反している?

   堺署によると、門前容疑者の110番は今年5月に突然始まり、それから11月までの約半年間ほぼ毎日続いた。朝から夜まで何度も繰り返され、その合計回数は1万5000回以上にも及ぶ。単純計算すると1日70回以上になるが、最も多かった7月30日には927回あった。これは1日に府警本部にかかってくる110番通報の約4分の1にあたる回数だ。

   110番通報を受ける府警の通信指令室には回線が52本あり、こうした「電話攻撃」があっても、つながりにくくなることはない。だが110番はあくまで「緊急通報用電話」だ。警察側は、かけるのならば110番ではなく堺署にと伝えたのだが「電話代がかかる」として応じず、徹底して「無料」の110番にかけ続けてきた。

   門前容疑者が通報し続けなければならない事件に巻き込まれていたかというと、そうではない。府警通信指令室に聞いたところ、容疑者が口にしていたのは「知人女性が『どんぶりばち法』に違反しているから逮捕しろ」と存在しない法律で知人の悪事を訴えるものや、「○○と××はデキている」といった根拠不明のスキャンダル、離婚した元夫のことなど、いずれも110番通報にふさわしくない内容ばかりだった。一方的に語り続けられるため会話のキャッチボールもできず、「これ以上話すことがないなら」と担当者から電話を切ることもあったという。

「すぐに切られるようになったので、かけ続けた」

   通報内容は支離滅裂だが、門前容疑者は時折、堺署の説得に応じるような素振りもみせていた。堺署は容疑者の自宅を訪れ、約60回にわたり説得を続けていた。その際のことを、副署長は「インターホン越しに『今眠たいから寝る』と一方的に切られることもあったが、『わかったわかった、緊急の時じゃなきゃあかんねんな』とその場では説得に理解を示すこともあった」と話す。容疑者は現在独り暮らし。酒を飲んでいることも少なくなかったが、取り乱したり荒々しい口調になったりすることはなかった。また署員に促されて何度か交番を訪れた際には、一方的にしゃべり続けた後、自主的に帰って行ったという。

   それでもウソ通報は止まらなかった。堺署はとうとう説得を諦め、逮捕状を取った。逮捕容疑は11月22日、携帯電話から188回にわたって不要な110番をして、府警通信指令室の業務を妨害した疑い。ちなみに電話は9時13分から22時14分までにかけられていて、少なくとも4分に1回は110番していたことになる。門前容疑者は「何回110番してもすぐに切られるようになったので、かけ続けた」と供述し、容疑を認めている。さらに逮捕後には「こんなんで捕まるとは思わなかった」ともぼやいていたそうだ。

   ちなみに、こうした「不要通報」の逮捕例はこれまでにもある。11年1月に逮捕された兵庫県西宮の職業不詳の女(35)は容疑を否認しているが、10年10月の1か月間に6000回以上、1月~10月には約1万7700回にわたって無言や意味不明な内容の110番を繰り返した疑いがもたれている。また今年8月に逮捕されたコンビニ店員の男(44)は、13年6月までの1年半に約2万8000回にわたって無言の110番を繰り返し、多い日には約1500回にのぼった日もあったという。