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急成長か淘汰か…クラウドファンディング ホリエモン、堀潤らが相次いで乗り出す

   このところ「クラウドファンディング」という言葉が、あちこちで盛んに飛び交っている。マスコミも先を争うように取り上げ、新規参入も後を絶たない。

   とはいえ、日本での市場規模は世界市場の約50分の1程度といわれ、まだまだ発展途上だ。はたして日本でも本格的な「クラウドファンディング時代」は来るのだろうか。

ホリエモン、5300万円という巨額を募る

米国の代表的なクラウドファンディングサービス「Kickstarter」。億単位の資金調達が実現した例も少なくない
米国の代表的なクラウドファンディングサービス「Kickstarter」。億単位の資金調達が実現した例も少なくない

   「都知事選費用300万クラウドファンディングで集めるとか」――ネット上で大いに話題になった起業家・家入一真さんの都知事選出馬宣言だが、供託金などの選挙資金をクラウドファンディングで集める、と言及したことは特に注目を浴びた。

   個人や企業が、事業の計画などを示してネットを通じて必要な資金を集めるクラウドファンディングは、海外では2013年で「メインストリームに乗った」(英ザ・ガーディアン)と目されている。日本でもすでにいくつかのサービスがあるが、家入さんはその1つ「CAMPFIRE」を立ち上げた本人だ。

   ホリエモンこと堀江貴文さんも、最近そのCAMPFIREを積極的に利用している。著書刊行にあたっての全国講演ツアーのための資金を募集し、目標金額の3倍を超える500万円以上を集めたほか、現在もネット生放送用機材を製作するとして、5300万円という巨額を募る。実現すれば、日本のクラウドファンディングでは最大規模となる。

   一方、12月には元NHKアナウンサーでジャーナリストの堀潤さんが、ニュースサイト「8bitNews」の新事業として、ジャーナリスト向けのクラウドファンディングサービスを開始した。金融庁の金融審議会も同月、特に「投資型」といわれるタイプのクラウドファンディングに関する規制を緩和することを含む報告書をまとめている。新規参入の動きもひっきりなしで、まさに戦国時代の感もある。

差別化で挽回狙う後発組

「ShootingStar」を運営するJGマーケティングの代表取締役・佐藤大吾さん。2014年の成長に意欲を見せつつ、業界では淘汰が進むだろう、と語る
「ShootingStar」を運営するJGマーケティングの代表取締役・佐藤大吾さん。2014年の成長に意欲を見せつつ、業界では淘汰が進むだろう、と語る

   「ShootingStar」もその1つだ。2013年6月スタートのいわば「後発組」だが、運営会社JGマーケティングの代表取締役・佐藤大吾さんは、元々NPO向けクラウドファンディング「ジャスト・ギビング・ジャパン」を手掛けてきた経験がある。これまでに50件の企画を掲載し、平均達成額は170万円。この金額は「業界一」だという。

   単に「場」を提供するだけでなく、メディアなどとも協力して案件をPRする、投資対価の内容なども含め利用者へ積極的にアドバイスする、などの方針で差別化を図り、個人のみならず企業の利用も積極的に推進する。特に企業相手には、これまでのノウハウなどを背景にした「信頼性」がアピールポイントだという。上記の堀潤さんとの協業や、最近では元大関・把瑠都さんの断髪式への参加もクラウドファンディング形式で募り、話題を呼んだ。

   最近の競争の激しさについて代表の佐藤さんに水を向けると、「いろんなサービスが競争しあって努力するのはいいこと。取材の機会も増えました」と笑う一方で、2014年には「淘汰」も進むだろう、との見方も示した。そうした状況で生き残るためにも、「(2014年には)まずは流通総額で、国内一番にならなくては、と思っています」と闘志を燃やす。

海外では市場規模5000億円

   日本のクラウドファンディング業界の市場規模は、およそ100億円程度と推定される。一方、世界ではすでに5000億円規模に到達しているとされ、文字通り「桁が違う」状態だ。米国の代表的サイト「Kickstarter」では、2013年に達成が確認されたものだけでも、実に40件近くが100万ドル(約1億円)を集めることに成功している。

   とはいえ、成長とともに問題点も指摘されている。特に、出資者と企画側のトラブルが課題だ。魅力的なプロトタイプの製品を提示して資金を集めたものの、肝心の量産は難航――といったケースはその一典型といえる。たとえばスマートウォッチ「Pebble」はその斬新なプロジェクトが受け、実に1000万ドル(約10億円)を一気に調達したが、開発スケジュールが遅れ、一時騒ぎになった。

   そもそもの企画自体が詐欺、詐欺まがい、というような事例も海外ではすでに起こっている。特に最近は、より大きな金額が動く「投資型」と呼ばれるクラウドファンディングが盛り上がっているだけに、こうした懸念は強い。

   すでに米国では、関係する規制の緩和などを進めるとともに、投資家の保護などの対策が議論される。日本でも規制緩和に向け、同様の検討が続いている。