2024年 4月 25日 (木)

安全なはずの「App Store」に偽アプリ続々 「ピザーラ」「マツキヨ」「ツルハドラッグ」が被害

   宅配ピザチェーン「ピザーラ」の偽iPhoneアプリが登場した。販売元欄には運営会社と関係のない名前が記されているため偽物と分かるが、ピザーラは公式アプリを持っていないため、勘違いする人も出てしまいそうだ。

   他に、ドラッグストアチェーンの「マツモトキヨシ」や「ツルハドラッグ」も同様の被害に遭っていることが分かり、それぞれダウンロードしないよう注意を呼びかけている。

販売者は謎の人物「hong bo zhou」

ピザーラの偽アプリが登場(画像はApp Store内のスクリーンショット)
ピザーラの偽アプリが登場(画像はApp Store内のスクリーンショット)

   ピザーラは2014年1月14日、無断で制作されたiPhoneアプリが「App Store」内で配信されていることを公式サイトで報告した。アプリ名は「pizza-la For iPhone」。1月9日に更新された記録が残っている。一見すると公式アプリのようだが、販売元欄には「ピザーラ」や事業本部の「フォーシーズ」の名前はなく、かわりに「hong bo zhou」という中国系と思われる人名が書かれている。トップ画像の中にある「P」のマークの解像度も低く、少し注意してみれば偽物だとすぐに分かる。

   記者が実際にダウンロードして起動してみたところ、「ホームページ」「キャンペーン」「企業概要」「新規会員登録」という4つの選択肢が表示されたが、どれを選んでも表示されるのは公式サイト内の画面だ。単純に、アプリ内から公式サイトに接続しているだけらしい。アプリ用の便利なコンテンツは一切なく、かわりに「企業概要」のボタンはわざわざ設置するなど、不自然な点が目立つ。

   実際に会員登録や注文もできるようだが、どこかに通信を中継されている可能性もある。ピザーラは「お客様情報の安全性が確認できていない」として、アプリのダウンロード、およびアプリ経由の注文や会員登録をしないよう呼びかけている。

権利関係は「ザル審査」?

   被害に遭ったのはピザーラだけではない。1月15日には、北日本を中心に展開するドラッグストアチェーン「ツルハドラッグ」も公式サイトで偽アプリへの注意喚起を行った。こちらは「ツルハ e-shop HD 」というオンラインショップの偽アプリで、同じく公式サイトを表示させるだけの仕組みになっている。販売者はピザーラと同じ人物だ。

   13年12月27日にはドラッグストアチェーン「マツモトキヨシ」も被害を訴えた。「e!マツモトキヨシHD」と「e!マツモトキヨシ For iPhone」という2種の偽アプリが確認されている。アプリ内には「お店を探し」「価格を比べ」など不自然な日本語表記がある。販売元は「Rui Guo」となっていて、この販売者は他に中国語と英語の発音テストアプリも販売している。

   「App Store」のアプリ審査は厳しいことで有名だが、インターネット上には、著作権などの権利に関するチェックが甘いとの指摘が以前からあるようだ。今回の件とは少し異なるが、2010年に村上春樹さんや東野圭吾さんらの人気作を許可なく電子書籍化した「海賊版」アプリの販売が問題になった際、朝日新聞は、Apple社が「(編注:正当な著作権者から)申し出を受けた際には速やかに適切に対処する」との見解を示した一方で、事前審査時のチェックについては言及を避けたと伝えている。

   今回の件に関してもネット上では「相変わらずザル審査」「ひどいな仕事してくれ」「審査は中身をチェックするだけで、Appそのものが違法かどうかは感知しない」といった声が上がっている。ユーザーはダウンロードする際に、販売元を一度確認するくせをつけたほうがよさそうだ。

   なお、被害に遭った3社はすでにApple社に対してアプリの削除を依頼しているとのことだが、17日時点でアプリは削除されていない。

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