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世界的な「和食ブーム」の影響 農林水産物や食品の輸出が過去最高に

   2013年の農林水産物や食品の輸出額が前年比22.4%増の5506億円となり、統計を取り始めた1955年以降で最高となった。13年12月に「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されたこともあり、日本の重要な「輸出品」になるのか注目が集まっている。

   日本の農林水産物や食品の輸出は、東日本大震災の原発事故に伴う風評被害で一時落ち込んだが、2013年は世界的な和食ブームや円安を追い風に伸びた。

政府目標は2倍増の「1兆円」

「和食ブーム」で、農林水産物や食品の輸出が伸びている。
「和食ブーム」で、農林水産物や食品の輸出が伸びている。

   輸出の品目別でみると、農産物が前年比17%増の3137億円。和食の人気を受けて、日本酒やビールなどのアルコール飲料や、しょうゆなど調味料が好調だった。緑茶は前年に比べて1.3倍増えて66億円。リンゴの輸出額も72億円と前年比2倍以上増えた。

   主食米は10億円とまだ少ないが、4割増だ。水産物は30.5%増の2217億円。

   ホタテ貝は2.1倍増の398億円、サバは1.3倍の120億円と伸びた。サケ・マスも伸びた。

   こうした農林水産物の主な輸出先は、香港や台湾、米国が多かった。リンゴは香港や台湾で人気。北海道産が多いホタテ貝も香港、米国などへ多く輸出。すしネタとして人気が高いという。

   政府は2020年まで輸出額を1兆円にする目標を立てている。日本の食文化の普及や輸出環境の整備することで伸ばしていく考え。

   ただ、現在交渉が進められている環太平洋経済連携協定(TPP)がまとまれば、外国産の安い農林水産物がますます大量に入ってくる可能性もある。

「企業参入」の促進が大きなカギ

   その解決策の一つとして、「企業参入」の促進が大きなカギを握っているといわれる。農林水産業は、アベノミクスでも成長分野の一つだ。

   2003年の「農地リース特区」ではじまった企業による農業参入だが、本格化してきたのは09年の改正農地法の施行後のこと。農林水産省によると、2013年12月時点でNPOを含む一般法人の農業参入は1393法人。このうち株式会社は858社と、改正法施行前の3.4倍にのぼっている。

   参入企業も多彩。食品関連(366社)や卸・小売業者(69社)、建設(172社)や製造業(62社)などもある。最近は販売用から外食などへの卸売り、また外食業が自社の調理用に野菜などを育てるなど、広がりをみせている。

   とはいえ、参入企業は農家から農地を借りて農業をしているが、企業が借りている農地の面積は3178ヘクタール(13年9月時点)。これは約40万ヘクタール(2010年調査)もある耕作放棄地のほんのわずかでしかない。参入者を増やすことに加えて、今後は農林水産物の大規模生産による効率化やコストの削減をさらに進める必要も出てきそうだ。