2024年 4月 20日 (土)

入場料やグッズ販売など2億円近い損害 浦和レッズ「無観客試合」の影響と重み

   Jリーグの試合で、浦和レッズのサポーターが「JAPANESE ONLY」と書いた横断幕を掲げた問題で、浦和に対して本拠地での無観客試合開催という処分が下された。1993年にJリーグが発足して以来、初めてとなる。

   割を食うのは、対戦相手となる清水エスパルスだろう。選手のモチベーション低下が懸念され、チケットを買ったサポーターも落胆したに違いない。しかも入場料収入など2億円が消し飛ぶ。

サポーター「よりによって清水戦」と嘆き節

6万人収容のスタジアムで無観客試合を実施
6万人収容のスタジアムで無観客試合を実施

   無観客試合の対象となるのは、2014年3月23日に埼玉スタジアムで行われる試合だ。Jリーグが3月13日に発表した制裁理由としては、差別的な内容である横断幕を浦和側が試合終了後まで撤去できなかった点や、過去にも今回と類似のトラブルを起こして制裁金を支払っていた点などが挙げられている。

   主催試合が無観客となれば、当然入場料収入はゼロとなる。埼玉スタジアムは観客席数が6万3700席の大型スタジアムで、人気クラブの浦和は多くのサポーターで埋め尽くされる。およそ1億円を見込める入場料が消し飛ぶ。加えて、観客へのグッズ販売や飲食物の売り上げも立たない。サッカージャーナリストで「フットボールレフェリージャーナル」を運営する石井紘人氏は、「すべてを含めると2億円近い損害になるのでは」と推測する。

   一部ファンの「暴走」により、試合を楽しみにしていたサポーターにとっては残念な結果だろう。とりわけ、清水側はとんだ災難だ。ツイッターには「付き合わされるエスパルス側はたまったものじゃない」といった投稿や、サポーターからは「よりによって清水戦…」との嘆きもあった。3月14日付のスポーツニッポン電子版によると、清水の高木俊幸選手は「大観衆の前で試合がやりたかったが、できなくて残念です」とこたえたという。

   石井氏は、それでも今回の処分は妥当とみる。「もちろんチケットを買ったサポーター、特に清水側から不満が出るのはやむをえません。ただ過去の事例を考えると、無観客試合そのものが悪い、迷惑だ、制度を変えろといった大きなうねりは起きていないと思います」と話す。プロサッカーの長い歴史がある欧州では、無観客試合の裁定が下ると「ファンにとっては『仕方がない』と切り替える風潮が既にできているのではないでしょうか」。

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