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どら焼き機は欧州、ロシア、中東、北米、アフリカで売れてる ニッチ市場で世界一、日本の中小企業の底力はすごい

   経済産業省は特定分野の世界市場で高いシェアを誇る中小企業など国内の100社を「グローバルニッチトップ企業100選」として初めて選定した。100社は自動車部品のほか、即席めんや菓子の製造ライン、医療機器メーカーなど多岐にわたり、日本企業の底力を見せている。

   100社のうち、大企業は6社に過ぎず、中小企業69社、中堅企業25社と圧倒的に中小企業が多いのが特徴だ。日ごろ私たちが何気なく使っている製品にも、これら日本企業の技術が使われ、しかも世界市場を席巻しているというから、心強い。

脳動脈りゅうの手術用クリップで40%の世界シェア

国内1位、世界でも2位(画像は「ダイナックス」公式サイト)
国内1位、世界でも2位(画像は「ダイナックス」公式サイト)

   業種別では、100社のうち、最も多いのは機械・加工部門の52社。以下、素材・化学部門20社、電気・電子部門15社などと続く。機械・加工部門では、自動車部品メーカーの健闘が目立つ。自動車のオートマチックトランスミッションの部品を製造する「ダイナックス」(北海道千歳市)は、この分野で国内シェア1位、世界でも2位。トヨタ自動車など国内メーカーはもちろん、ダイムラー・ベンツなど海外メーカーにも納入している。

   「冨士製作所」(群馬県藤岡市)は即席めんの生産ラインシステムのトップメーカー。「マスダック」(埼玉県所沢市)は、どら焼きなど和洋菓子用のオーブン、充填成型機の専門メーカー。いずれも、世界トップを目指すグローバルメーカーだ。「日本のどら焼きをチョコレートクリームの入ったパンケーキにアレンジしたところ海外で受け入れられ、どら焼き機は欧州、ロシア、中東、北米、アフリカに販路が広がっている」(マスダック企画広報室)という。

   医療機器メーカーの「ミズホ」(東京都文京区)は、脳動脈りゅうの手術用クリップで40%の世界シェアを誇る。このクリップは脳動脈りゅうの破裂を防ぐため、脳の中に埋め込み、動脈りゅうに血液が流れ込むのを止める。同社のクリップは外れにくいほか、血管や神経を傷つけない高い精度が評価された。

全自動イカ釣り機で世界シェアトップの「東和電機製作所」

   ユニークなものでは、漁師のノウハウを、コンピューターを駆使してシステム化した全自動イカ釣り機で世界シェアトップの「東和電機製作所」(北海道函館市)がある。私たちの食卓に上るイカの多くが同社の全自動イカ釣り機で釣り上げられたものだという。

   大企業の中では、自転車用変速機関連部品の「シマノ」(大阪府堺市)や、エンジン排ガス測定装置を製造する「堀場製作所」(京都市)、電子制御4WDカップリングなど自動車部品製造の「ジェイテクト」(名古屋市)など、各分野でトップシェアの企業が入った。

   これまで中小をはじめとする日本企業が独自の技術で「世界一」のシェアを誇ることは、毎日新聞社が「日本の技術は世界一」(新潮文庫)として100社を取り上げたほか、日本経済新聞などでも取り上げられてきた。今回、経済産業省が100社を選定するのは初めてで、公募により候補企業を募り、外部有識者で組織する選定評価委員会が審査したという。経済産業省はアベノミクスの成長戦略(日本再興戦略)に基づき、「グローバルニッチトップ企業や、これを目指す企業を今後も支援していきたい」としている。