2024年 4月 19日 (金)

エドウインが伊藤忠子会社に カリスマ社長は退任、経営再建動き出す

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   経営再建中のジーンズ大手エドウインが伊藤忠商事の子会社になることが決まった。繊維ビジネスに強みを持つ伊藤忠の傘下に入ることで、経営基盤が強固になり、海外進出も加速しそうだ。

   創業家の常見修二社長は経営責任をとって退任し、伊藤忠から後任社長ら取締役が派遣される。

証券投資の失敗で経営が揺らぐ

伊藤忠傘下になったエドウイン、ジーンズの質は変わらない?(写真はイメージ)
伊藤忠傘下になったエドウイン、ジーンズの質は変わらない?(写真はイメージ)

   エドウインは2012年8月に証券投資の失敗で500億円規模とされる巨額損失が発覚し、2013年11月に私的整理の一種である「事業再生ADR」の利用を申請。2014年3月には素材提供などで長年にわたって取引のある伊藤忠とスポンサー契約を締結し、再建計画を一緒にまとめてきた。5月29日の債権者会議で伊藤忠の子会社化などを柱とする計画が認められて事業再生ADRが成立した。主要取引金融機関が計約200億円の債権を放棄し、伊藤忠が300億円超の資金援助をするという。

   事業再生ADRの成立を受け、エドウインは「伊藤忠商事の子会社となり、再出発を果たすこととなります」などというコメントを出しただけで多くを語らない。だが、伊藤忠傘下に入ることで、素材の調達コストが抑えられて価格競争力も高まるとみられる。また、既に欧州や中国などに進出しているものの、業界には「伊藤忠の世界的な販売網を活用し、海外展開が加速化する」との期待も広がっている。

   そもそもエドウインを巡っては、証券投資の失敗に伴う経営悪化というのが理解されておらず、ユニクロなどの低価格ジーンズ登場のあおりを受け、販売不振に陥った末の破綻だったとの誤解がある。確かにファストファッションの台頭でボブソンといったライバル勢は消えていった。

   しかし、エドウインは国内29社、海外5社を保有し、ジーンズ製造・販売では国内最大手。「EDWIN(エドウイン)」「SOMETHING(サムシング)」などオリジナルブランドに加え、米ジーンズブランド「Lee(リー)」「Wrangler(ラングラー)」、米ミリタリーブランド「ALPHA INDUSTRIES(アルファ インダストリーズ)」などのライセンスビジネスも展開し、グループの2013年5月期の売上高は約500億円と堅調だ。業界2位のリーバイ・ストラウス ジャパンの約93億円を大きく上回っており、そのブランド力に陰りは見られない。

日本人の体形に合ったジーンズ

   人気を支えてきたのが、優れたマーケット調査・商品開発力だ。日本人に合ったデザイン、スタイルのジーンズを開発し、それまでの輸入ジーンズに比べて着心地のよさやデザイン性の高さなどが幅広い年齢層に受けた。他社を圧倒する国内13の自社工場で製造することで手ごろな価格での提供も可能にした。また、EDWINのCMにハリウッドの人気俳優、ブラッド・ピットを起用して話題にもなった。

   父親の経営する衣料品店を引き継ぎ、こうしたビジネス展開でエドウインとして成長させたのが、米国留学経験もある常見社長だった。業界を牽引してきた人物でもあり、「カリスマ社長として有名」(関係者)。国内製造へのこだわりも強かった。ただ、経営責任を明確にしなければ債権者を納得させられず、再スタートを切ることもできなかった。

   辣腕の常見社長が去ることへの懸念はあるが、伊藤忠は国内工場を維持していく考えのようで、業界では「アパレルに詳しい伊藤忠傘下になることで市場トレンドや消費者ニーズに今まで以上に敏感になり、商品開発力に一層の磨きがかかるかもしれない」と予想する声もある。

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