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女性器アート「ろくでなし子」氏、特派員協会で会見 逮捕は「日本の性的なイメージに対するゆがみ」

   女性器の3Dデータを配布したとして警視庁に逮捕され、勾留に対する準抗告が認められて釈放された芸術家の「ろくでなし子」(本名・五十嵐恵=42)氏が2014年7月24日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見し、「逮捕には今でも非常に怒りを感じる」などと訴えた。

作品は「自分のありのままを愛するきっかけになっている」

会見に臨む「ろくでなし子」氏。唯一「わいせつではない」として押収されなかった作品を手に笑顔を見せた
会見に臨む「ろくでなし子」氏。唯一「わいせつではない」として押収されなかった作品を手に笑顔を見せた

   ろくでなし子氏は女性器をモチーフにした作品の製作で知られ、ボートを建造するプロジェクトに対して「クラウドファンディング」と呼ばれる手法で寄付を募った。寄付者に対して女性器の3Dデータを配布したとして、警視庁は、ろくでなし子氏をわいせつ電磁的記録頒布の容疑で逮捕し、7月14日に発表した。東京地検はろくでなし子氏の勾留を請求し、東京地裁が7月15日に勾留を決定。弁護側が7月17日に準抗告で不服を申し立てたところ地裁に認められ、ろくでなし子氏は7月18日に釈放された。準抗告が認められるのは異例だが、捜査は継続するとみられ、在宅で起訴される可能性も残っている。

   ろくでなし子氏は会見の中で、創作活動の理由を

「女性器は女にとっては生理、セックス、妊娠、出産と、自分の肉体の一部として、あまりにも身近なもの。それが『わいせつ』という言葉によって、女性の持ち物でもあるにもかかわらず、女性器がどこか遠い存在になっている。これはおかしいのではないかという思いが、私の根底にある」

と説明。女性一般についても

「自分の性器と向き合う機会が非常に少なく、体の一部なのにゆがんだイメージを持っている人も多い」

と分析し、自らの作品が「自分のありのままを愛するきっかけになっている」とした。

「大手出版社の週刊誌では、しょっちゅう『女性器特集』という変な特集」

   その上で、

「日本では昔からの性器を奉る信仰がある一方で、こうした日本独特のわいせつ観が存在する。今回の私の逮捕は、こうした日本の性的なイメージに対するゆがみが現れたのではないか」

と逮捕を批判。さらに、組織に属さない人が狙い撃ちされたとの見方も示した。

「何の警告もなされず、突然逮捕された。去年から大手出版社の週刊誌では、しょっちゅう『女性器特集』という変な特集が組まれており、その中で私の作品を取り上げてくれた雑誌もあった」

   一連の女性器特集の中には3Dスキャンに触れたものもあったが、「なぜか私が逮捕されてしまった」と訴えた。

   ろくでなし子氏は、寄付をした人に対して、クラウドファンディングサイトのメール一斉送信機能を使って3Dデータが掲載された7日間限定のURLを知らせている。メールを受け取った人がURLをクリックしてデータをダウンロードする必要があるが、警察はこの点を含めて「わいせつ物の頒布」だとみなしたとみられる。ろくでなし子氏は、この点についても

「そもそも警察がクラウドファンディングというシステムを理解していたのか疑問でならない」
「最初から(ろくでなし子氏の方から)データを送っているという体で逮捕してるっぽいので、全然話がかみ合わない」

などと批判した。