富士フイルム、エボラ出血熱対策で「アビガン」を追加生産 「特効薬」の期待高まる

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   西アフリカでの「エボラ出血熱」の流行は、ナイジェリアなどの一部で終息宣言が出されたものの依然続いている。世界保健機関(WHO)によると、疑いも含めた死者・感染者数は1万3000人を超えた。勢いは衰えていない。

   そうしたなか、富士フイルムホールディングス(HD)は抗インフルエンザウイルス薬の「アビガン錠(ファビピラビル)」を、エボラ出血熱対策として海外での投与拡大に備えるために追加生産すると、2014年10月20日に発表した。

フランスやノルウェーなど4か国で投与実績

富士フイルムの「アビガン錠」に世界が注目している!(写真:米疾病対策センター)
富士フイルムの「アビガン錠」に世界が注目している!(写真:米疾病対策センター)

   「アビガン錠」は、富士フイルムHD傘下の富山化学工業が開発した薬剤で、日本では抗インフルエンザウイルス薬として2014年3月に薬事承認を取得。エボラ出血熱の治療薬としては未承認だが、ウイルスの増殖を防ぐ作用があるとのマウス実験の結果が公表されていて、「エボラ出血熱にも効果があるのでは」との期待が高まっている。

   富士フイルムによると、「アビガン錠」の追加生産は2014年11月中旬から、富山市の工場で開始する。

   フランス政府とギニア政府が、ギニアでエボラ出血熱に対する「アビガン錠」の臨床試験を始める予定で、富士フイルムはこの臨床試験で効果や安全性が認められれば、より大規模な臨床使用のための薬剤提供が見込まれるほか、感染規模が拡大した場合に備えて海外向けに十分な量を継続的に供給できるようにすべきと判断した。

   具体的な生産量などの計画は明らかにしていないが、同社は製剤前の原薬30万人分を保有しており、すぐに投与できる錠剤として現時点で2万人分の在庫がある。富士フイルムは「原薬から順に製剤化していきます」と話している。

   富士フイルムは、これまでに西アフリカから欧州に緊急搬送されたエボラ出血熱の複数の患者に対して、緊急対応として投与している。これらは、緊急搬送先の政府機関や医療機関から「アビガン錠」の提供要請があり、日本政府と協議のうえ応じたもの。

   同社によると、これまでにフランスとドイツ、スペイン、ノルウェーの4か国で投与実績がある。

   フランス保健省は10月4日、リベリアでエボラ出血熱に感染した女性が治癒し、パリ近郊の病院を退院したと発表。この女性の治療で使用された薬のひとつに、「アビガン錠」が含まれていたとされる。

   ドイツでは、シエラレオネで感染してフランクフルト大学病院に搬送されたウガンダ人医師の患者の治療に、「アビガン錠」が投与された。また、同様にシエラレオネで発症してオスロの病院に搬送されたノルウェー人の女性医師は、詳細は明らかにされていないが実験的治療が行われているとの情報があり、快方に向かっているとされる。

日本の「アビガン錠」に世界が注目

   スペイン政府は2014年10月19日、エボラ出血熱に感染し、マドリードの病院に隔離入院していた看護師が快方に向かっていると発表した。ウイルス検査で陰性の結果が出たためで、近く再検査を行う予定としている。政府は治療に使った薬を明らかにしていないが、スペイン紙「エル・ムンド」やCNNなど複数のメディアが、富士フイルムHDの「アビガン錠」が投与されたと報じた。

   西アフリカ以外の、米国やスペインなどへの感染拡大もあって、いまや世界各国から日本の「アビガン錠」に注目が集まっている。

   ちなみに10月21日、日経平均株価が前日比300円超も急落するなか、富士フイルムHDの株価は続伸し、終値は前日比6円高の3398.5円で引けた。「アビガン錠」を追加生産の発表を受けて、一時は148.5円高の3541円まで値上がりした。

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