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選管も初めてと驚く違法行為相次ぐ 選挙ポスターの顔にあのマークが

   米軍基地移設を巡り、沖縄知事選は、保守が分裂して争う異例の激しい選挙戦になっている。そんな中で、選管も初めてと驚く違法行為が相次いでいることが分かった。

   4人が出馬した2014年11月16日投開票の沖縄知事選では、前那覇市長で自民党沖縄県連幹事長の経験もある翁長雄志氏(64)がリードし、現職で自民党が支援する仲井真弘多氏(75)が追う展開だと報じられている。新聞各紙が7、8日に行った世論調査で分かった情勢で、現在は変化している可能性がある。

赤い「×」を書いたり、黒く塗ったり

ポスターにこんな落書きが
ポスターにこんな落書きが

   仲井真氏は、13年12月に一転して普天間飛行場の名護市辺野古への移設を認め、それが今回の知事選で最大の争点だとされる。翁長氏は、前回の知事選では、仲井真氏を支援したが、今回は移設承認に異議を唱えて自ら出馬した。共産、社民両党も翁長氏を支援し、これまでの保革対決の構図とも違う形だ。

   そんな分裂・ねじれ選挙の中で、相手候補を批判するポスターなどを使ったネガティブキャンペーンが激しさを増しているとも報じられている。

   14年10月30日の告示後は、ツイッターなどで、選挙ポスターに落書きがされているとの報告が相次いだ。そこにアップされた写真を見ると、仲井真氏の顔にはスプレーで赤い「×」マークが書かれ、翁長氏を除く2人の顔は黒く塗りつぶされていた。翁長氏だけは、何も手がつけられていなかった。

   一方、ポスターが破られているケースもツイートされており、投稿写真を見ると、今度は翁長氏のだけが破られていた。

   選挙ポスターの落書きや破損行為は、もちろん、公選法違反(選挙の自由妨害)や器物損壊の罪に問われる。今回は、ただのイタズラの可能性もあるが、ネット上では、特定の候補への支援者と見られる人たちからは、相手陣営の仕業だとして非難する声が相次いでいる。

選管は、「ここまでのは初めて」と困惑

   ポスター落書きのケースでは、仲井真弘多氏の支援者とみられる人たちからは、翁長雄志氏の陣営がやったのではないかとの指摘があり、「酷い選挙妨害だ」と非難が上がっている。一方、翁長氏の支援者とみられる人たちからは、仲井真氏の陣営が翁長氏側になりすましてイメージダウンを図っているとして、「卑劣な謀略戦だ」との反論が出た。

   落書きなどについては、沖縄県外から工作員が来て組織的にやっているのではないか、といった根拠のない憶測までされていた。

   ネット上でも、誹謗中傷の書き込みなどがされており、選挙戦は、かなり過熱しているようだ。

   沖縄県選管によると、2014年11月5日までに県中南部を中心に7市町25か所で落書きなどが確認された。ポスターが破られていたのは、沖縄市の3か所だけで、それ以外は、前述したのと同様な落書きがされていた。選管では、「ここまでのは初めて」と困惑しており、この日、選管委員長名で「各候補者の選挙運動手段を不当に妨害する悪質で卑劣極まる行為であり、断じて許されるものではありません」とする異例のコメントを出した。

   ただ、その後については、一部でポスターが破られる被害があったものの、「落書きなどが広がっているとは聞いていない」という。ネット上のことについては、選管に指導などする権限はないとして、「警察が捜査することになると思います」と言っている。

   翁長、仲井真両氏の選挙事務所では、取材に対し、「落書きの意図などはこちらでは分かりませんので、お答えできるようなことはありません。目の前の選挙を頑張るだけです」と話している。