2024年 4月 19日 (金)

大韓航空「女性副社長」はトラブルメーカー オーナー家の帝王的振る舞いが根底に?

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   大韓航空の女性副社長が、搭乗していた自社機で乗務員のサービスの不備に激怒し、離陸に向けて動き出していた航空機を強引に搭乗口まで引き返させたことが批判を浴びている。

   この女性は大韓航空会長の長女。乗務員を命令に「服従」させるごう慢さが、騒動につながったのか。オーナー一族による経営の弊害も指摘されている。

ハワイで出産は子どもに兵役逃れさせるためかと非難

大韓航空を揺るがす一大事に
大韓航空を揺るがす一大事に

   日本へも多くの便が就航している大韓航空は、韓国・韓進グループが所有する。韓進はほかにも大手海運、陸運会社を傘下に収め、物流を中心に観光・ホテル事業も手掛ける一大企業グループだ。会長の趙亮鎬氏は2014年8月から、2018年開催の平昌冬季五輪の組織委員長を務める韓国財界の大物。今回、問題となった副社長の趙顕娥氏は長女だ。

   趙副社長は、客室乗務員が搭乗客にナッツを配った際に袋のまま出されたことに「マニュアルに沿っていない」と激怒、責任者を呼んでマニュアルを確認させようとしたが手間取ったために怒りが増幅し、責任者を機内から降ろすと命じて滑走路付近まで移動していた機体を搭乗口まで引き返させた。乗務員を降ろす権限は機長にあり、趙副社長の指示は越権行為との批判もある。目的地への到着が遅れ、乗客に実害が及んだのも問題だ。

   複数の韓国メディアによると、趙副社長は12月9日に、機内サービス統括責任者などの職を辞したという。一方で副社長の地位にはそのままとどまったそうだ。父親の趙会長は報道陣の取材に対して謝罪したが、現時点では娘からすべての権限を取り上げたわけではない。

   趙副社長は過去にも批判にさらされたことがあった。2013年に米ハワイで双子の男の子を出産したが、韓国・聯合ニュース2013年5月28日付の英語版記事によると、出産の1か月前にグループ企業が運営するホテル改装の監督業務との名目でハワイに転勤したばかりだった。ハワイでの出産により、双子には米国籍が与えられる。そこで、出産直前の異動は、子どもに米国籍を取らせて韓国の男性に課せられる兵役義務を逃れるため会社ぐるみで仕組んだのではないかと非難されたのだ。聯合ニュースによると、この時大韓航空は、「副社長の子どもたちは韓国人として負うべき義務を果たすことになる」との声明を発表したという。

機内での暴行事件では乗務員をいたわるコメント出したが...

   こんな話もある。大韓航空では2013年4月、機内で韓国の大手企業役員が乗務員を暴行する事件が起きた。機内食に対する不満が爆発した末の乱暴行為だったが、この時趙副社長は社内の掲示板を通じて、乗務員をいたわるコメントを発表していた。2014年12月8日付のハンギョレ新聞日本語電子版によると、副社長は「乗務員の業務を妨害する行為を処罰できる法律条項も、これを機会に用意されるだろう」とまで書いていたそうだ。この時は同情を寄せていた乗務員に対して、今回は必要以上と思えるほど激高したのは不思議だ。

   AP通信は12月9日付記事で、韓国の財閥企業に見られる同族経営の「負」の面を指摘した。「家族の一員がしばしば、株主や、創業一族と血縁関係にない幹部よりも強力な影響力を行使する」というのだ。ハンギョレ新聞も「オーナー家の帝王的な態度が問題の根にあるという批判」に趙一族がこたえなければならない立場にあるとした。さらに大韓航空社員の話として、一族が搭乗する際は乗務員が何時間も前に現場に到着していなければならず、制服の色まで指示されるとの「裏話」を明かしている。真偽は分からないが、経営者一族の「権力」を垣間見るエピソードだ。

   今回の趙副社長の行為は法令違反の可能性もあるようだ。12月9日付の朝鮮日報日本語電子版は、韓国の市民団体が副社長を告発するとして、近く検察の調べる受けることになると報じた。今後も副社長にとどまれるかは分からない。

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