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「戦闘員は、鋭い目でナイフを見つめている」 本当にイスラム国メッセージなのか、情報錯綜

   人質事件のタイムリミットとされた時刻が過ぎ、イスラム国系サイトで、日本人2人へのアクションをほのめかすような書き込みがあったと報じられた。一方で、日本政府が引き続き2人の救出を探っているとの報道もあり、安否を巡る情報が錯綜している。

   日本政府がタイムリミットとみた2015年1月23日午後2時50分ごろの少し前だった。日本のテレビ報道などによると、イスラム国系とみられるサイトで、イスラム国と、2人の首を切る人物のメッセージを載せたとの書き込みがあった。

支援者とみられるサイト「カウントダウンが始まった」

菅官房長官は2人の安否について「さまざまな情報に接していることも事実」などと述べた
菅官房長官は2人の安否について「さまざまな情報に接していることも事実」などと述べた

   そこでは、次のようなことが書かれていた。

「カウントダウンが始まった。イスラム国の戦闘員は、鋭い目でナイフを見つめている。日本の首相は、未だに悪だくみをしている。日本国民は、ただ傍観していた。拘束された2人に対する慈悲がない。イスラム国の指導者とその兵士たちは言ったことはやる」

   このサイトは、今まで他国の人質への殺害警告が載せられていたともいう。こうした情報は、ネット上でも話題になり、様々な憶測が書き込まれた。

   一方、その後しばらくして、外務省関係者の話も報じられた。それは、イスラム国系サイトは、支援者によるもので、犯行グループによるものではないということだった。結局、メッセージとされた書き込みの信ぴょう性は、分からないままだった。

   人質問題については、厳しい状況も伝えられていた。

   NHKによると、イスラム国の広報担当という男は23日未明、ネット上の音声通話などで取材に答え、「日本人は『イスラム国』と戦う不信心者だ」と強く非難した。身代金などを巡る日本側との交渉などについては回答を拒否し、「しばらくしたら声明が出るだろう」と明かした。

   その真意は不明だが、厳しい口調からすると、2人の安否が懸念される事態も考えられた。

コンタクトが取れているとの観測も報じられる

   また、人質解放の交渉もしようとしたというジャーナリストの常岡浩介さんは、外国特派員協会で行った1月22日の会見で、「状況は、ほぼ絶望的だと思っています」と見通しを示した。

   その理由について、常岡さんは、人質が助かったのは、イスラム国がビデオ声明を行う前に身代金の交渉をして解放されたケースに限られているとして、「イスラム国は、ビデオで殺害予告をした人を確実に殺害してきた」と述べた。

   一方で、日本政府は、まだ望みを捨てずに様々なルートを使って交渉を続けているとも報じられている。

   現地対策本部があるヨルダンでは、本部長を務める中山泰秀外務副大臣に変化が見えてきたとするテレビ報道もあった。報道陣の問いかけに対し、イスラム国側との接触を否定せず、むしろコンタクトが取れている印象を持たせたという。現地の専門家も、イスラム国からの人質解放に成功したトルコが日本に協力しているはずだとの見方を示したとも報じられた。

   身代金支払いについても、日本政府は慎重な物言いに終始しているとする新聞報道もあった。つまり、含みもある発言ということらしい。菅義偉官房長官は、タイムリミットが過ぎた23日夕の会見でも、「テロには屈しない」としながらも、身代金については引き続き言及を避けていた。現時点ではイスラム国からの特段のコンタクトはないと説明したが、「さまざまな情報に接していることも事実」とも述べ、含みを持たせた。

   いずれにせよ、近いうちに、何らかの動きが判明しそうだ。