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ジャパネットたかた、成長路線を維持できるか 名物社長退任、後継は東大出の長男

   テレビ通販大手、ジャパネットたかた(長崎県佐世保市)の高田明社長(66)が2015年1月16日付で社長を退任した。通販番組への出演も、今後1年をめどに降板するという。

   甲高い声、分かりやすい語り口を持ち味に、顧客をつかんできた明氏。新社長に就任した長男、旭人氏(35)が、明氏の敷いた成長路線を維持できるのか、注目されそうだ。

「役目を終えた。退任にまったく悔いはない」

旭人社長は偉大な父を超えられるか(画像は同社のコーポレートサイトより)
旭人社長は偉大な父を超えられるか(画像は同社のコーポレートサイトより)

   「29年間代表を務めてきたが、役目を終えた。退任にまったく悔いはない。ちょっと離れたところから応援したい」。同社の創立記念日に当たる1月16日、親子そろって東京都内で記者会見に臨んだ明氏は、晴れ晴れとした表情を浮かべた。旭人氏については「とにかく努力家。不安はゼロではないが、期待の方が大きい」と持ち上げた。

   明氏は昨年夏、テレビ通販20周年を記念して開いた取引先との「感謝の会」の席上、社長退任を表明。新体制へ向けた準備を着々と進めてきた。

   社長だけでなく、組織も一新する。2007年に設立した持ち株会社、ジャパネットホールディングスの位置づけを見直し、グループ全体の戦略策定部隊へと変更。中核子会社のジャパネットたかたに加え、プロモーション、コールセンター、物流、アフターサービスの計5社がぶら下がる形にして、それぞれ専門性を高めていくという。旭人氏は、持ち株会社に加え、傘下の5社のうち3社の社長を兼務した。

個人頼みではない企業に脱皮できるか

   ジャパネットたかた(旧「たかた」)は、明氏が1986年設立。カメラ店・ソニーショップとして、観光写真の撮影、現像、商品の販売などを行う会社だった。

   1990年、地元のNBC長崎放送でラジオショッピングを行い、通販事業に参入。1991年には北海道から沖縄まで、全国でラジオショッピングのネットワークを完成させた。1994年にテレビに進出し、2000年にはテレビ、ラジオ、紙、インターネットの4媒体体制を構築。商品の仕入れからアフターサービスまで責任を負う「自前主義」を貫き、高齢者らから支持を得た。単にモノを売るのではなく、通販を通じて、顧客の生活を変えることをモットーにしてきた。

   重責を担う旭人氏は、1979年生まれ。東大教養学部卒業後、野村証券に2年間勤務し、2004年にジャパネットに入社した。その後は商品開発本部やコールセンター、商品管理の各責任者を務め、明氏の側で「帝王学」を学んできた。父とは違い、テレビショッピングには出演せず、経営に専念するという。

   ジャパネットの2014年12月期決算は、売上高が前期比8%増の1538億円、経常利益は同13%増の174億円と増収増益を達成する見通し。旭人氏は「社長が抜けるという危機感は社員にもあるが、それを乗り越えて増収増益を目指す」と意気込む。

   ただ、ここまで成長を遂げられたのも、明氏の個性的なキャラクターによるところが大きい。新社長就任に合わせ、新しいロゴマークや、スローガンを発表、新生「ジャパネット」をアピールする。旭人氏が、個人頼みではない企業に脱皮できるか。手腕が問われそうだ。