ビール類出荷が10年連続で減っている もはや「とりあえず一杯」は過去のものか

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   2014年のビール類(ビール、発泡酒、第3のビール)の課税出荷数量は、前年比1.5%減の4億2707万ケース(1ケースは大瓶20本換算)となり、2005年から10年連続の前年割れとなった。現在のような統計が発表され始めた1992年以降で過去最低を更新する結果ともなった。

   理由について業界では「夏場の天候不順」との説明も聞かれるが、台風が来ても家で飲む人は飲むわけで説得力に欠ける。缶チューハイやウイスキーはむしろ伸びており、「とりあえずビール」と居酒屋で注文するのはもはや過去の話なのかもしれない。

「第3のビール」が前年割れ

ビール業界、勝負の一年(画像はイメージ)
ビール業界、勝負の一年(画像はイメージ)

   2014年のビール類市場の特徴として、2003年に発売された「第3のビール」が前年比4.4%減の1億5118万ケースと、初めて前年割れしたことが挙げられる。これは発泡酒が盛り返して2002年以来、12年ぶりに前年比プラスとなったことも少し影響したようだ。発泡酒はサッポロビールの「サッポロ 極ZERO」人気を見て大手3社がプリン体と糖質をゼロにした発泡酒を発売して市場が拡大した。

   とはいえ、発泡酒は4.4%増の6129万ケースで、その市場規模は今や第3のビールの3分の1強に過ぎない。発泡酒が伸びたことだけでは第3のビールの減少の原因を説明しきれない。

   一方、ビール類市場の約半分を占めるビールは1.0%減の2億1460万ケースで、前年割れは何と18年も続いている。高級ビールが人気とはいえ、減少にはなかなか歯止めがかからない。こうした結果、2014年のビール類市場はピークの1990年代前半に比べ、およそ4分の3程度にまで縮んでしまった。

   縮小しているビール類市場で今さらシェアを言ってみても仕方ないような気もするが、一応点検すると、アサヒビールが38.2%と5年連続で首位を守った。キリンビールが33.2%で、サントリービール15.4%、サッポロビール12.3%と続く。前年に比べると、キリンビールが1.6ポイント落ちる一方、他3社が拡大した。キリンビールの凋落を改めて示す格好となっている。半面、高級ビール「ザ・プレミアム・モルツ」を抱えるサントリービールのシェアは過去最高を更新した。

従来ブランドの派生商品を発売

   それでは2015年に各社はどのような手を打ってばん回を図るのか。

   キリンホールディングス(HD)昨年末、今年3月に社長が磯崎功典氏に交代することを発表し、体制を一新して臨む。事業会社と持ち株会社の間に設けた中間持ち株会社「キリン」の運営を見直し、キリンHDの執行役員がキリンの執行役員を兼務。風通しをよくして機動力を高め、意志決定をスピードアップする。

   大手4社に共通するのは、ビールを重視する点だ。格安商品として消費者をつなぎ止めてきた第3のビールの勢いに陰りが見える一方、酒税改正でビールが減税される可能性が浮上していることも後押しする。

   具体的には、完全な新商品ではなく、消費者に親しまれてきた従来ブランドの「派生商品」の発売が目立つ。アサヒは3月までに「超辛口」を掲げる「スーパードライ エクストラシャープ」など、主力の「スーパードライ」を冠した派生3商品を投入する。キリンも「一番搾り」の派生商品の発売を計画。サントリーは「ザ・プレミアム・モルツ」の派生商品としてこれまでより約2割高価なビールを発売する。一方、サッポロは「黒ラベル」自体の中身を改良する。

   従来からあるビールのブランドを活用する、あるいは磨くことでビール復活にかける大手4社。少子高齢化、若者のビール離れなどの逆風にあらがえるかどうか、勝負の1年が始まった。

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