【大震災 若者の挑戦(3)】
「復興」から「地域おこし」へ大学生が奮闘 がれきの片づけから始まり、今は農家の野菜販売も

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   東日本大震災直後の仙台市で、被災した学生を中心に結成されたボランティア団体「ReRoots(リルーツ)」は、4年間で活動の幅を広げてきた。

   軸となるのは地元の農家の支援だ。震災の年は農地のがれきの片づけ作業から始めて、徐々に農業再開の後押しをしながら今では農家の野菜販売を一部担う。その先には、地域おこしを見据えている。

  • 試行錯誤しながら野菜販売に携わる大学生、大里さん
    試行錯誤しながら野菜販売に携わる大学生、大里さん
  • 津波で大きな被害を受けた仙台市若林区荒浜(2013年3月)
    津波で大きな被害を受けた仙台市若林区荒浜(2013年3月)

「自分のことをお客さんが覚えてくれると楽しい」

   中学校に隣接する空地に停車した軽トラックの荷台には、白菜やホウレンソウ、菜の花、キクイモと多彩な野菜が並ぶ。仙台市若林区の農家が育てた新鮮な野菜を、車で移動しながら販売する。これは被災した地元農家への支援を4年間続けるNPO法人「ReRoots」の、「くるまぁと」というプロジェクトだ。

   「販売チーム」の大里武さんは京都出身で、東北大学1年生。高校時代に被災地を訪れ、現地の高校生と交流するなかで大学進学後にはボランティア活動にかかわりたいと感じたという。東北大に入ると、学生が主体的に活動できるReRootsを知って迷わず参加を決めた。

   記者が訪れた3月上旬の土曜日、寒空の下で大里さんが荷台の近くで顔なじみの客と談笑していた。見ると周りには子どもたちも数人いて、大里さんに時折「ちょっかい」を出してくる。近所に住む子たちで、その手を取って遊びながら、「自分のことをお客さんが覚えてくれると楽しいですね」と笑う。

   ReRootsに加わる前、販売経験はゼロだったが好奇心はあった。最初はぎこちなかった接客も、回を重ねるうちに自然な会話ができるようになった。野菜の仕入れ先である農家へも足を運ぶため、知識の乏しかった野菜の勉強にも精を出した。親しくなった常連客に、「くるまぁと」のジャガイモを使って「じゃがバター」をつくった話をしたことがある。「ある朝、お客さんから電話がきて、『私もトライしてみたよ。とてもおいしかった』と言われたんです」。半年ほどの販売体験を通して、地域住民と打ち解けていった。

   「くるまぁと」は単なる販売目的だけではない。地元農家の野菜の魅力を知ってもらい、地産地消を促進すると同時に、販売活動を通して住民との、また住民同士の活発な交流を生み出して、震災で傷を負った地域の活性化につなげる懸け橋としての役割を見据えている。

農家にとってはがれきが片付けば終わり、ではない

   大里さんが所属するReRootsは、震災の影響で避難所にいた若者を中心に2011年4月、10人で組織された。主に大学生だったが、現代表の広瀬剛史さんは社会人でメンバーの中心となった。自ら被災した経験から、震災直後の緊急時を乗り越えた後に日常生活を取り戻すのがいかに大変かを実感していた。「被災者の立場」を最も重視し、相手の目線で生活再建をサポートすることを理念に掲げた。

   被害が大きかった若林区は農家が多く、農地の復旧が「職場復帰」につながる。ReRootsが農業支援に着目したのはそのためだ。ただ農家にとっては、農地に積もったがれきが片付けば終わり、ではない。つらい気持ちをリセットできないと、自力で農業を再開しようとの意欲は生まれてこない。再開できても、野菜の安定的な収穫を軌道に乗せ、販路を確保できるか――こうした心情を理解し、単にモノやサービスを提供するばかりではなく、農家が自らの足で立ち、その先にコミュニティーを再生させるための活動という長期的な展望を掲げた。

   2011年は地元農家を紹介してもらい、津波で汚れたビニールハウスの泥をかき出す力仕事や、大型のがれきが撤去された後の農地を掘り返して小さいがれきを探し出し除去、畑として回復させる作業に携わった。その年の秋には全国からボランティアが集まり、月1000人ほどに膨れ上がったという。

復興住宅の住民に地元の野菜を提供

   農業を再開した被災農家が徐々に収穫をあげていくと、次は野菜の販売支援だ。2012年11月、仙台朝市の店舗型の「りるまぁと」を開店し、毎土曜日に被災農家が育てた野菜を販売。その後、農家の生産が向上してきたタイミングで2014年8月に「くるまぁと」にシフトした。店舗を増やすのは難しいが、車を使った移動販売なら身軽だ。ReRootsが拠点を置く若林区には、家を失った被災者が住む荒井東復興公営住宅が建つ。一方、近くにスーパーはじめ買い物施設がない。地域の専業農家から野菜を一部出してもらい、多額ではないが収益増に貢献できる。復興住宅へ出向けば、住人はなじみ深い地元の野菜を食べられる。くるまぁとの販売スタッフが野菜販売を通して人々と触れ合って、コミュニティーづくりを促す一歩とするのだ。

   販売担当の大里さんは、この大目標に向けて試行錯誤を繰り返している。もっと大勢の住民にくるまぁとを知ってもらうには何をすればいいのか、農家と買い物客いずれも「ウィン・ウィン」になる方法はないか――。今は販売自体を学ぶ段階で、ReRootsの仲間たちと頻繁に話し合い、「気づけば一緒に旅行した先でも、議論しています」と笑う。

   大里さんのように、ReRootsの理念に賛同してボランティアに加わる学生は毎年増えているそうだ。活動4年目は、新規メンバーの勧誘時に過去最多の80人の学生が参加を希望してきた。若者たちの旺盛な意欲が、「地域おこし」を目指すReRootsの活動を支えていく。

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